JAL(日本航空)の経営再建
ここ連日、JALの経営再建の話が各メディアで取り上げられ話題となっている。私が直接関わっている会社ではないので気にする必要はないが、何故か気になる。
というのは、私は1997年~2006年までの10年間シンガポールに駐在していた。この10年間にシンガポールと日本間を実に36回往復した。このとき利用した航空会社はほとんどJALであり、自然のうちに愛着を感じ気になる存在になっていた。
JALの経営不安はここに来て急に発生したのではなく、数年前から起きていた問題である。経営不振が叫ばれる度に、根本的な解決策をとるのではなく、一時的な再建計画を出しお茶を濁すようなやり方でごまかして来たため、毎年のように経営不安が持ち上がって来ている。
今年に入って、政府の保証の元に銀行団から融資を受け入れる一方、これだけでは資金不足であり、米国の航空会社であるデルタ航空、あるいはアメリカン航空いずれかからも出資を受ける話が進んでいる。例え、いずれかの会社から出資を受けたとしてもまた一時しのぎの策であるため、根本的な赤字体質が改善されない限り、また翌年不安が持ち上がってくると予想される。
根本的な解決策は何かと言えば、構造改革である。高コスト体質を徹底的に洗い直して固定費の削減を図ることが一番必要なことである。最も大きな固定費は人件費であるが、此処にメスが入れられていない。8つの労働組合、高コストな退職者年金、等々やっかいであるがため、いずれの経営者もここに踏み込もうとしていない。まず第一にやることは人件費(年金も含む)と人員の削減による固定費の削減である。固定費をドラスティックに改善したうえで、不採算路線の廃止、国際線の共同運行といった運航コストの削減、等々を実施することである。
人件費の削減は一筋縄では行かないやっかいな問題である。大阪府でも、橋本知事が登場するまでは誰も手を付けなかった問題である。
かって私がシンガポールに住んでいた時、SQ(シンガポール航空)の労使間、特にパイロットの組合が賃上げを要求し、会社側と長い間話し合いがつかないことが発生した。これを見かねた建国の父である、リークワンユー上級相が調整に乗り出し解決されたことを記憶している。
航空業界においてもグローバル化が進み、激しい競争が始まり格安航空会社が乱立し始めた頃であり、SQと云えども格安航空会社と競争を余儀なくされる状況下に置かれていた。こういう状況下で既に高賃金を得ているパイロットが更なる賃上げを求めれば益々高コスト体質になり、他国の格安航空会社との競争が成り立たなくなることを縷々説明しパイロット組合を説得され、解決に導かれたことを記憶している。
JALの経営再建に置いても不退転の決意で臨む経営者(例えば、土光敏夫氏のような経営者)が現れて構造改革を進めて、本当の再建に結びつけて会社を立ち直らせて欲しいと願うものである。
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