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2010年1月 4日 (月)

2010年 年頭所感 「Xデイ(運命の日)」

1990年バブルが崩壊して昨年で20年が過ぎた。前半の10年は言わずとしれた「失われた10年」であり経済を回復軌道に戻そうとして箱物を中心とする公共投資に毎年莫大な予算がつぎ込まれた。にも拘わらず、砂漠が水を吸収するが如く金が吸い込まれるだけで経済は回復軌道に乗らなかった。この間に、就職氷河期がおこり、大手金融機関が相次いで破綻した。

後半の10年いわゆる00年代には小泉政権が誕生し大手金融機関の不良債権を一掃さすため公的資金が投入され不良債権処理は早まり金融機関の経営が安定した。景気も緩やかな回復軌道に乗り、00年代半ばには就職氷河期は一旦おさまった。国家財政についても赤字国債発行の比率が減少し、プライマリーバランスを2011年迄に収支をゼロにする目標が設定されるまでになった。この後も経済が緩やかであれ回復基調が続けば、00年代には過去の失われた10年は解消するかのように思われた。

所が2007年夏頃から、米国の「サブプライムローン」に絡んだ問題が世界の金融市場を大きく揺さぶりはじめた。日本にも影響し、経済成長率が当初の計画より鈍りはじめてきた。この結果、プライマリーバランスを収支ゼロにする計画にも赤信号がともり始めてきた。ちょうどこのブログで記述している2008112日頃である。

そしてこの問題が大きく火を噴いたのが、2008915日に起こったリーマンブラザーズの経営破綻に端を発する経済危機である。100年に一度と言われる経済危機に発展し、日本にも大きく影響し経済の回復基調はいっぺんに吹っ飛び奈落の底に落ちてゆく状態となった。全ての経済指標は急降下、就職氷河期の再来、失業率の増大、企業の業績悪化(特に世界の超優良企業と言われたトヨタ自動車が赤字に転落した)、政府による緊急大型の財政出動にも拘わらず回復は道半ばである。 この結果00年代においても「失われた10年」を脱却することが出来ず継続する形となり、「失われた20年」となってしまった。

そして昨年(2009年)は、待望の政権交代が行われ不況からの脱却、閉塞感に満ちあふれる日本社会の改革、等々が期待された。私が特に期待したのは財政における無駄を徹底排除し、赤字国債に頼らない予算編成であった。政権公約を説明するに当たり財源をどうするのかとの問いに対して、無駄を省いて財源を捻出するのみの説明で大幅な赤字国債を発行することなど一言も言及されなかった。所がいざ蓋を開けてみると、無駄の排除が徹底されず、公約実行の予算、等々で財政規模が大きくふくらみ、赤字国債を44兆円、更に霞ヶ関埋蔵金を10兆円当てなければならなくなった。この結果日本の累積債務は900兆円を越す値となることが予想される。

前置きが長くなったが、年頭所感の本論はここからである。最近の経済論で国の借金が増大し、やがて家計が持つ金融資産とイコールとなる「Xデイ(運命の日)」がささやかれ始めて来ている。一つは、1228日のNBonline記事で龍谷大学経済学部教授の竹中正治氏が述べている、政治が無策で現行のまま進むようであれば、家計ネット金融資産と政府ネット負債がイコールとなる「Xデイ(運命の日)」が遅かれ早かれ必ず到来する。地球温暖化問題などより早く確実にやってくるとの予測である。根拠とされるデータを以下に添付する。
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 このデータから行くと、2030年代初頭には「Xデイ(運命の日)」が到来することになる。
もう一つは、1230日の日経新聞の一面の記事「家計の貯蓄頼み限界」である。この記事を引用すると「政府が家計の貯蓄に頼って借金を重ねる構図に限界が見え始めた。政府の負債残高が膨張し、9月末は家計資産に対する割合は66%まで上昇した。これは過去最高の水準だ。今後も政府負債の膨張は止まらず、2020年ごろに家計資産を逆転する可能性もある。家計の貯蓄率は少子高齢化でマイナス転落が視野に入り、家計資産も減少に向かう可能性もある。家計の高貯蓄率という日本経済の強みが薄れつつある。」、日経新聞に載っているデータを以下に添付する。

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以上のように、政府が財政再建について無策で危機感のない状態がが続けば、2020~2030年の間に「Xデイ(運命の日)」が確実に到来すると予測される。今年はデフレが予想され、これを断ち切り景気回復に結びつけるには更なる財政出動が不可欠であるにも拘わらず消費税導入は今後4年間凍結であり、税収増加の見通しも立っていない。従い、来年度予算に於いては霞ヶ関埋蔵金が底をつく現状では、今年以上に赤字国債を発行せざるを得ないと推測される。今年の44兆円+霞ヶ関埋蔵金10兆円=54兆円以上になると予測する。このペースで行けば、後10年後即ち2020年前後に「Xデイ(運命の日)」が来るのではないかと思われる。

日本の国債に対する格付けが大幅に下落し、円が暴落、超インフレの到来、戦後の混乱期のような状態、等々が予測される。しかし、実際どうなるのかわからない。
それでは、財政再建の道は残されているのであるだろうか?既に累積債務は900兆円になる膨大な額であり通常に考えると不可能なレベルである。

日本の全ての分野から叡智を集め集中的に解決策を見いだすべきである。その一つは、このブロブでも述べた、竹中正治氏のNBonline記事「もう鳩山首相をあきらめる?」の中で述べられている「財政再建と景気対策は両立可能だ」というコメントである。マクロ経済の入門レベルの知識として数式を使って解説されている。このコメント全文は、私のホームページのリンク集の中に載せているので、興味があれば開いて読んでみてほしい。

以上述べたように「Xデイ(運命の日」が近づいて来ていることを全国会議員が認識し、経済・財政政策を進めて行ってもらいたいと願うものである。

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