2012年 年頭所感
昨年は、東日本大震災という未曾有の大災害を経験した。これで一生の間に、しかもわずか20年足らずの短い期間に、阪神大震災と東日本大震災という二つの大災害を経験したことになる。
日本の経済は、1990年のバブル崩壊後の
“失われた20年” を経験し、この間に積み上がった借金はなんと1,000兆円という世界でも類を見ない前代未聞の値である。こうした厳しい経済状況下で発生した大震災であり、復旧・復興するための財源が十分に確保出来るのだろうかと心配をしたが、遅れに遅れ、大部分が借金というつじつま合わせの予算が成立した。今後は如何に早くこの予算を使って復旧・復興に弾みをつけて回復さすことが出来るかである。行政の叡智を絞って進めてもらいたいと願っている。
一方、国政の方は昨年後半新しい野田内閣が発足し、希望の船出となったが、わずか四ヶ月でボロボロになろうとしている。原因は、言わずとしれた消費税の増税とTPP問題である。この二つのテーマで民主党党内をまとめ切れていない状態で強引に突っ走ろうとするからである。民主党党内をまとめきれない状況で野党の協力など得られるはずはない。下手をすると、今年の通常国会の早い段階で行き詰まり、政権を投げ出すか、解散に追い込まれる確率は大であると見ている。
現在の日本の借金状況、経済の状況からすると、消費税の増税、TPP参加、の二つの問題についてほぼ半数の人々がある程度理解し、やむを得ない状況と好意的な判断をしてくれているが、野田政権を後押しする形にまとまっていない。各種メディアの状況、コメントもそうである。
しからば何故そうならないのかというと、一言で言えば “政策を実行する手順” が間違っているからである。最初にやらねばならないことは、身内の改革である。政府自らが痛みを伴う改革を実行しその成果を国民に示すことである。即ち、国会議員改革(定数削減と給与の削減)、公務員改革(定数削減と給与の削減)、更にはデフレ対策、円高対策、こういう改革を実行し、その成果を国民に示すことが必要である。成果を示すことにより、内閣支持率を絶えず60%~70%に維持することが大切である。即ち、この内閣に任せれば何事も国民のプラスになるように導いてくれるという感覚を国民に持ってもらうことが大切である。
国民の支持率が60%~70%というが高い状況であれば、ねじれ国会であろうと、難しい政策であろうと、遂行可能になるものである。その良い例が、大阪府の橋下知事が行った改革である。改革を次から次へと行うことにより、赤字財政を黒字に転換、こうした実績を大阪府民が認めたから、知事への支持率は絶えず70%を越していた。こうした状況下で昨年秋の大阪ダブル選挙が行われた。相手候補側には、民主党、自民党、共産党、という基礎票をもつ既存の大政党がよってたかって応援に駆けつけたが、これらを物ともせず寄せ付けず、知事、市長、共々維新の会の圧勝に終わったのである。
今年も、国政は停滞、国家の借金は増加、デフレの継続、円高の継続、そして閉塞感はますます増大、やがては国家の没落、へと繋がって行くのではないかという懸念はぬぐい去れていない。
こうした中で、唯一の希望の星は、「大阪から国を変革」というスローガンのもと始まった大阪維新の会による改革である。昨年12月に、大阪都構想実現のための戦略組織、府市統合本部が設立され12月27日メンバーの初会合に合わせ、ブレーンとなる特別顧問が府市双方から委嘱された。作家の堺屋太一、慶応大教授の上山信一、元経済産業省の古賀茂明、政策コンサルタントの原英史、関学大教授の山中俊之の5氏である。
5氏に共通するのはいずれも中央省庁のキャリア官僚であったことである。堺屋、古賀、原氏が通産省、上山氏が運輸省、山中氏が外務省である。これらの5氏は国(霞ヶ関)の硬直した体制や制度を問題視し、行政・公務員制度改革を行うことを提言してきたが、受け入れられず官庁を後にしたのである。従い、これら5氏の頭の中にあるのは、「国で出来なかったことを大阪でやる」という強い意気込みであり、大阪の改革を突破口に国の変革を促して行こうとするものである。
従い、今年最も注目して行かねばならないのが、大阪都構想の推進、即ち大阪の改革である。この改革が順調に進むように、大阪府民のみならず全国民がバックアップして行くことが大切である。これが順調に進めば、次の衆議院選挙にも大きな影響を及ぼし国政のキャスティングボードを握る存在となり得るからである。そして、国政改革に繋げて行ければと願っている。
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