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2012年3月の記事

2012年3月23日 (金)

株価1万円超え程度で喜んではいけない

214日に日銀が事実上のインフレ目標の導入と、資産買い入れ基金10兆円増額する追加金融緩和策を発表した。時を同じくして、1月度の貿易収支、経常収支が発表された。

1月度の貿易収支は14,768億円の赤字、経常収支は4,373億円の赤字となった。これらを背景として、円が売られ約1ヶ月の間に1ドル=¥76 →¥83まで円安となった。この円安を歓迎して株価は約1ヶ月間に日経平均が¥8,500 → ¥10,000まで上昇した。

過去さんざん円高に苦しめられて来た日本経済であるが、円安になると企業の業績アップが見込まれこれを先取りする形での株価上昇である。この為替レートが継続するようであれば、輸出企業の業績が回復し日本経済に好循環が生まれ、更なる株価のアップ、ひいては産業空洞化の縮小、雇用の拡大、という方向に向かって行くことが予想される。

「円安こそが日本を救う唯一最強の手段」と述べているフジマキ・ジャパンの社長 藤巻健史氏の持論を少し実感したさせられた次第である。

今回の株価上昇について、藤巻氏は最近のコメントで「株価1万円程度で喜んではいけない」と述べている。ここで藤巻氏の3月22日の日経電子版のコメントを少し引用して見ると、

将来の経済状況を示すという株価だが、NYダウはリーマンショックの1年前の2007年10月9日につけた14,164ドルの史上最高値に迫っている。一方、その日17,159円だった日経平均は今でも、その日より40%近くも低い1130円でうろうろしている。

リーマンショックのおひざ元の米国株が完璧に回復し、さらに史上最高値を狙おうという時に、まったく回復していないのだから、日本株は情けない。さらに言えば、現状は198912月につけた史上最高値38,915円の4分の1でしかない。株価が1万円を超えたと喜んでいる場合ではないのである。

日本株が低迷しているのは低迷しているだけの理由がある。27日に発表されたトヨタ自動車の123月期の連結純利益予想は2,000億円だ。タイの洪水や震災があったので前年比51%減で、昨年度の純利益は約4,000億円だ。一方、米フォードモーターズの1112月期の純利益は202億ドル(17,000億円)もある。米国の自動車産業はもはや斜陽産業だと思うのだが、それでもフォードモーターズは17,000億円を稼いでいる。日本を代表するトヨタの8倍以上の利益だ。ちなみに昨年、ペプシコーラの純利益は64億ドル(5,400億円)だから、トヨタはペプシコーラの半分の利益もあげていない。

日本の製造業は軒並み赤字で壊滅的状況だ。14日に発表になったシャープの12年度の連結最終損益は2,900億円の赤字予想、先日発表になったパナソニックは7,800億円の赤字予想である。注目すべきは、米欧企業に伍して勝負していたものが急に赤字になったのではなく、欧米企業の10分の1100分の1の利益しか長年あげておらず、その延長戦上で赤字になった点である。こんな状況では日本の株価が低迷するのはあたり前だ。日本の会社は欧米企業に比べて、長年10分の1から100分の1の純利益しかあげてこなかった。そこまで大きな差があることに気がついている日本人は少ないと思う。  ~中略~

諸悪の根源は円高なのだ。この円高は企業の努力の限界を超えている。以前トヨタ自動車の専務が新聞で「1ドル7677円台は1年前に比べて約15円もの円高だ。1台当たりの粗利益が30万円吹き飛ぶ計算だ」とおっしゃっていた。逆に言えば、トヨタの生産台数は800万台後半だから、1ドル92円と15円円安になれば、1台当たり30万円、全体では粗利益が2兆数千億円増えることになる。107円なら5兆円以上だ。粗利益が、そのまま純利益増になるほど単純ではないだろうが、1ドルが92円になれば、トヨタは米国企業以上の純利益を上げられ107円ならば、全世界で1、2をあらそう大儲け企業に変身することになる。

ちなみに日本企業がグローバルスタンダード並みに、現在の10倍の純利益をあげれば、単純計算で10倍の法人税収があがるはずだ。平成23年度当初予算で法人税収見込みは7.8兆円だったから、10倍だと78兆円。今より法人税が70兆円の増収になるわけで、そうなれば消費税など上げなくても、単年度44兆円の赤字は黒字化する。財政再建への道筋もつくことにもなる。企業が儲かればもちろん就職難などもなくなるし、ボーナスも大幅増だろう。このように円高修正は日本国にとって最大の国益になる。間違っていただきたくないが、私は為替は実体経済に応じて動くべきというのが主張であって、20年来景気がずっと悪いから、今は円安が国益だと言っているのである。

と言うのが、藤巻氏の見解である。円安が極端に進めば、それはそれなりにリスクとなるが、少なくとも当面1ドル=¥90台前半位まで円安が進めば、日本の輸出企業の業績は大きく改善し、法人税も増え、消費税増税を急がなくても財政再建の目処も生まれてくる。更に、産業の空洞化が防げ、雇用も増大する。こう言う観点から、日本政府に要望することは、「全力を挙げてデフレ対策と円安政策」を進めてもらいたいと思っている。過去1年間に数度の巨額の介入を行いながら円安に誘導できなかったのにもかかわらず、2月に日銀が行った1%のインフレ目標を達成するための10兆円の金融緩和策でこれだけ効果が見込めるのであれば、日銀が国債を買い入れ円の供給量をもっと増やし、少なくとも1ドル=95円位まで円安誘導をすべきであると思う。それでどれだけインフレが進むのかやってみるべきである。今はデフレであり多少のインフレは許容できるのではないだろうか?この結果企業の純利益が10倍に増加すれば日本経済が全て好循環の方向へ回って行くのではないかと思う。政府の政策を官僚にのみ任せるのではなく、藤巻氏のような実際の実務家の意見を取り入れて政策を実行してもらいたいものである。

追記:藤巻氏の日経電子版に寄せられたコメント「株価1万円超え程度で喜んではいけない」(322日付)、と「円安こそが日本を救う唯一最強の手段」(223日付)の全文をこのHPのリンク集に載せているので必要であれば読んでみて下さい。

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