諸悪の根源 「円高」 対策は何故出来ないのか?
10月31日~11月1日にかけて日本企業の中間決算が発表された。目を覆うばかりの悲惨な結果である。2013年3月期の決算見込みは、パナソニック7,650億円の赤字、シャープ4,500億円の赤字と2年連続の大赤字見込みである。その他、ソニー、NEC、富士通、も収益は確保したといえどもほぼトントンと言った状況である。パナソニック、シャープ両社とも、これぞと言った回復の切り札となる商品が今のところ見いだせていないため、今後しばらくは非常に厳しい局面が続くと予想される。かつての三洋電機の二の舞にならねば良いがと懸念するものである。
リーマンショック後の不景気と長引く超円高がじわりじわりとボディーブローのように効いてきた結果である。ちなみにウォン安に守られてきた韓国のサムソンは史上最高の利益となっている。家電メーカは、世界中で韓国勢と競争を行い破れ続けて来た結果である。韓国の場合、れっきとした自由主義経済国と見られているが、実は為替に関しては自国に有利に働くように為替操作を自由自在に行っているのである。中国、韓国と言った為替操作を自由に行う国々のメーカと対等に競争をしようと思っても土俵の条件が違い過ぎて競争にならない。これは誰の目から見ても明らかであるのも関わらず、日本政府は手をこまねいて見ているだけである。これらの不公平に文句をつけるのは米国政府とユーロ圏各国であるが、あまり強く出ていないため効果的な結果とはなっていない。
一方、時を同じくして日銀と政府は金融緩和策を打ち出した。9月10月と2ヶ月連続の金融緩和策である。今年に入ってから、2月、4月と併せると4回目の金融緩和策である。目的は、デグレ克服と円高対策である。10月30日に打ち出された金融緩和についての結果はこれからであるが、過去の3回分について見るとデフレ克服と円高対策の効果は全く見られない。いくら金融緩和を行ってもデフレ克服には繋がらないのは、「デフレの原因は円高」 であるからだ。金融緩和策を日本だけが行うのであれば、円高対策になるのであるが、米国、欧州でも同様の金融緩和策が取られているため効きようがないのである。
日本の閉塞感を助長している円高は諸悪の根源であるにも関わらず何故手が打てないのだろうか?
それは、日本が真の市場主義経済ではないからではないのか? 日本の国民が持つ金融資産は1,400兆円と言われているが、その運用先はほとんど日本国債に投資(銀行預金を通して間接的に)されている。日本の10年国債の金利は0.77%である。米国の10年国債の金利は1.73%であり日本国債より1%金利が高いのに何故米国国債に金が流れないのだろうか? 同じ事が株でも言えるのである。米国企業は、日本企業と比較した場合、利益も配当も遙かに大きい企業が多いのにも関わらず、日本の金融資産は米国株に向かわず日本株に投資されている。日本の金融資産が、米国国債、米国株式、等々に投資されるのであれば、円売りドル買いが発生するため必然的に円安ドル高になって行くはずである。
現在の妥当な円レイトは、リーマンショック前の1ドル=\110前後ではないかと思う。ここまで円高が解消されるのであれば、日本の製造業は再び勢いを取り戻し、景気回復、設備投資の増加、雇用の回復、税収の伸び、と言う好循環に戻って来るはずである。今、日本政府に求められるのは円高対策である。消費税の5%アップなど円高デフレの現下では「焼け石に水」である。
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