アベノミクス、日本経済再生に最後のチャンス
上記のタイトルは、4月8日付けイギリス・フィナンシャル・タイムズ紙コラムのタイトルである。フィナンシャル・タイムズ紙自体は、日本から何らかの恩恵を受けるとか言うことはなく中立の立場で意見を述べていると思うのでいつも注目して読んでいる。
日本の評論家の場合は、自分の評論の立場を優位にしようとか、自分の書籍をより売り込もうとか、暗黙の内に自己宣伝的ものが含まれていることが多く、よくよく吟味して意見を聞くことが必要であると思っている。出版されている書籍の半分以上がこのたぐいである。
その代表的なものは、同志社大学教授 浜矩子氏のアベノミクスは悪徳商法であり、アホノミクス発言、これ以上コメントしたくない。更に、青山学院大学教授 榊原英資氏、アベノミクス前であるが、「円高は日本にとって良い」の発言、私の考えである「諸悪の根源は円高」と全く相反するものであり、むなしさを感じた。
本論に戻って、フィナンシャル・タイムズ紙コラムの要点を少し抜粋して列挙してみると、
1. 過去20年間、踏み込んだ経済政策を避けてきた日本が、ついに綱渡りの政策に乗り出した。果敢であり、避けられない道である。リスクも高い。日銀は不安定な一歩を踏み出した。
2. 安倍首相は刺激的だ。正しい診断を下し、正しい治療法を打ち出した。政策の中身は、デフレ脱却を目指す金融刺激策と、これと連動する財政出動により、個人需要の喚起を促進すること、さらに成長率の押し上げにつながる構造改革である。これらを同時進行で、断固たる姿勢で、必要な期間続ければ、経済停滞から脱却させることは可能かもしれない。
3. 次の一手は、日銀による実物資産、特に株式の購入であるべきだ。株式の購入先は企業と銀行による持ち合いの部分だ。安倍首相と黒田日銀総裁は日本の企業に対し、日銀に株を売るのは義務だと伝えるべきだ。
4. 日本のような経済状況なら、他の国だったらすでに危機に陥っている。しかし、日本の驚異的な強さ、つまり世界でも突出した輸出国であり、貯蓄が巨額で、社会全体が難しい改革でも可能であると信じていることで、日本にはまだ解決の余地が残されている。
5. 今回がおそらく、日本が破綻せずに経済問題を解決する最後のチャンスとなる。綱渡り政策はすでに始まった。周囲は息をのんで見守っている。一歩一歩、正しい政策を踏み出してほしい。
と言うものである。
民主党政権時代、約1000兆円という巨額の債務を抱えた状態で東日本大震災が発生した。財政には余裕がなく、復興に必要な巨額の費用を捻出するには赤字国債の発行しか道は残されていなかった。従い、これにより日本の財政破綻は数年早まるのではないかと推測していた。
所が、アベノミクスが始まり、フィナンシャル・タイムズ紙のようなコメントを読んでいると、日本の財政破綻を防ぐ道はまだ残されているのかな?とも思えるようになって来た。しかし、いずれにしても今回が最後のチャンスであることは間違いない。国民の協力と後押しが必要であると感じている。
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いろいろコメントを頂き有り難う御座います。それぞれのコメントに対して私の見解を少し述べてみたいと思います。 第一のコメントに対する見解としては、
現在、最も重要なことはアベノミクスを成功させ、日本を正常な姿に立ち戻らせることだと思います。即ち、借金に頼らない財政運営が出来るまともな国家にして行くことである。アベノミクスが成功しなかったら、従来進んできた道失われた20年を継続し、失われた30年やがては財政破綻へ突き進むだけです。
アベノミクスを成功させるために我々一般国民がやれることは、多々あると思いますが、アベノミクスを信じてバックアップすることが重要であると思います。即ち、安倍内閣を指示し、規制緩和、TPP参加、イノベーション、等々を強力に進めさせることであると思います。
現在の日本で最も金を持っている世代は、団塊の世代以前の世代だと思います。この世代の人々が金を使おうにも既に皆揃っていて買う物がないとの指摘ですが、ハード(物品)で考えるとそうなりますが、ソフトで考えるといろいろなことで協力出来ると思います。
例をあげると、旅行に行く、ゴルフに行く、歌舞伎座へ芝居を見に行く、コンサート会場へ行く、カラオケに行く、音楽CDを購入する、節電をして余力電力を産業界へ回す、ふるさと納税をする、孫の為に金を使う、等々上げればきりがありません。これらも立派な消費であり、税収に繋がるものであると思います。
ソフトで金を消費させようとすれば、人々が参加しようと思うような仕掛けを作って行く事が必要であると思います。大阪で例をあげると、今年大阪城で行おうとしているモトクロスの大会、新装開店する大阪フェスティバル・ホール、アベノハルカス、道頓堀へ作ろうとしている800メートルの直線プール、うめきたの二期工事、更にあげると規制緩和をして大阪ベイエリアにシンガポールにあるマリーナ・ベイ・サンズのような国際リゾートを作り海外からも人を呼べるようにする(但し、これには規制緩和が必要)、等々です。
次に第二のコメントに対する見解は、
私はかねがね諸悪の根源は、超円高であることだと思っていました。所が、アベノミクスにより円高が解消され既に約25%の競争力の改善となっています。即ち、輸出で稼いだ売り上げは25%の利益増になっているのです。今後この円安が定着すれば、企業は工場を中国から日本に戻したり、新工場を国内に建設して行き、中国離れが一段と進むと思っています。中国の場合、政治的なリスクがあり、どの企業も撤退したいと思っているので益々拍車がかかると思います。
日本の電機会社が現在苦しんでいるのは、超円高であったことも起因していますが、根本的にはイノベーション不足であると思います。過去の成功例では、日本独特の新規商品を開発しそれを世界へ売りまくり稼ぎ経済大国となってきたのですから。
最近のイノベーティブな商品をあげると、掃除ロボット・ルンバ(1年ほど前から使っていますが優れもので重宝しています)、3Dプリンター、ダイソンの羽のない扇風機、スマートホン、等々です。日本の電機会社により、こうしたイノベーティブな商品開発がなされない限り、画期的な飛躍は難しく現状維持が関の山であると思います。
むしろこうした既存製品分野ではなく新規産業分野、例えばバイオサイエンス(iPSを利用した再生医療、新薬の開発)、水ビジネス(海水の淡水化、砂漠の緑地化)、環境ビジネス、メタンハイドレードによるエネルギー革命、等々に政府がもっと力を入れ産業化を早め、日本全体としてのGDPを増やして行くことがアベノミクス成功の鍵となると思っています。
投稿: 奥出雲・船通山 | 2013年4月11日 (木) 13時13分
最近私の周りで、株で何百万儲かったとか、為替でも何百万儲かったとの話がたくさんあります。
実際的に百貨店の売り上げが増えて、スーパーの売上が減っているので格差は拡大するのでしょう。又、為替が円安に向かっているので輸出事業者が儲かり、輸入事業者が損をするのも事実と思います。では、全体としての富は増えるのでしょうか?
日本経済を会社に例えてみたいと思います。アベノ株式会社としましょう。この会社は財閥の会社で年金生活者・高齢者・間接要員が多くてコスト高の構造で韓国や台湾の企業に追い越されています。これまでの社長は経営がうまく行かず、毎年1年で交代してきました。この3年間は、組合出身(民主党)の社長でした。今度の社長は従業員(国民)の人気が高くてそれをてこに、同じ財閥系の銀行(日本銀行)の頭取も自分の言うことを聞く人間にして、借入金をどんどん増やして、その手元資金で従業員の給料を上げて、設備投資もして売上を増やすといっています。今すでに売上高(GDP)の2倍の借金(国債発行残高)があるにも関わらずです。同じ財閥の中で銀行と会社が資金の融通をし合っている姿です。給料を上げて設備投資をして、売上を上げて借金を返すといっているのです。
売上を上げるには、韓国や台湾に勝てるコスト競争力が必要です。新しい設備を買って従業員の給与を上げて競争力がつくとは思われないのです。
最近の日本の電機会社は過剰な設備投資と売価の下落の二重苦で危機に瀕しています。やがて、アベノ株式会社も今の日本の電機会社の姿になるのでは
会社の経営は健全なファイナスンと競争的コスト力と開発力、将来の市場を展望する眼力等、バランスのとれた構造が必要と言われています。
以上の説が正しとすれば、先進的IT企業を除いて一般企業は設備投資や賃上げはしないでしょう。結局一部の金持ちが儲けを食い逃げをして後に残るのは国の借金の山で、結果次世代にそのつけを回すのでは懸念します。
投稿: 奈良のスローニン | 2013年4月10日 (水) 14時56分
「いずれにしても今回が最後のチャンスであることは間違いない。国民の協力と後押しが必要であると感じている。」
以上の文言、最後のくだり、これが一番問題であると考える。
現在、一般的な日本国民に「今、一番欲しいものは何ですか」と尋ねれば、一番多い答えは多分、「お金」となるでしょう。
つまり世の中に十分にものが揃っており、極端に言えば欲しい「もの」がほとんどないのが実情である。
政府はアベノミクスで消費を増やせ、増やせと言っているが、給料が増えないからダメだと言うのが一般論であるが、
本当は違うと考えている。国民が本当に欲しがる魅力的な商品がないのである。給料が少なくても本当に魅力的な商品
が出れば、国民は例え借金をしても買いたくなるのではないでしょうか。
よってアベノミクスの3本の矢のうち第三の矢「成長分野」が最も大事であると考える。過去の一例として昭和40年代の
「三種の神器」(TV,洗濯機、冷蔵庫)がある。当時国民はこれが欲しくて一生懸命働き、消費も伸びたのである。
現在のこれがなんに当たるかは別として、結論としては、政府の財政出動よりも国民がもっと欲しがるような魅力的商品
を世の中に出していくことが最も重要であり、そうすれば消費も増えて税収も伸び、国の借金も減って来るのである。
投稿: 福井 啓美 | 2013年4月10日 (水) 11時17分