参議院選挙の背景と結果についての感想
第23回参議院選挙は7月21日投開票が行われ終了した。結果は、事前のメディアの予想通り与党の圧勝で終わった。これで6年間続いた国会のねじれが解消されることになった。このねじれの6年間(悪夢の6年間)を少し振り返ってみると。
6年前の参議院選挙で自民党が大敗したことで国会のねじれが発生、その後の6年間は、失われた20年、15年続くデフレ、と重なる3重苦となり、日本の国益を大きく損なう大危機といっても過言ではない状態が続いた。
6年間毎年首相が代わり、国会の審議は遅々として進まず法案成立率は20~40%と停滞した。更に、2008年9月リーマンショック発生と同時に超円高になり、日本企業は壊滅的な打撃を受けるに至った。悪いことは重なる物で、更に輪をかけて東日本大震災が発生し危機を増幅させることになった。
リーマンショック後の経済の停滞と閉塞感を打ち破ることを期待し、2009年9月政権交代が起こり民主党政権が誕生した。政権交代直後の民主党に対する国民の熱気はすごいものであり、今にも大改革が進められ経済の停滞と閉塞感はすぐにも打破されるものと思い込んだ。
所が、鳩山政権誕生後3ヶ月もしないうちに何かおかしいと感じ始め出した。このブログの2009年11月1日発行の「鳩山政権への憂鬱」から始まり、民主党政権に対する希望が一気に失われた。結果論であるが、民主党政権下の3年間は憲政史上最低の3年間ではなかったかと思う。
ねじれ国会下に起きた超円高、民主党政権はこれ対して有効な手を打つことが出来ず、日本の大企業の収益は大幅に落ち込み、赤字企業が続出する結果となった。2012年3月期の決算を見ると。トヨタの純利益2,000億円(まだ黒字を保った)パナソニック純利益-7,800億円、シャープ純利益-2,900億円、ソニー純利益-2,200億円、等々である。
この結果、大企業の国内にある地方の子会社は軒並み閉鎖され雇用が失われた。又、企業が納入する法人税も7兆円前後と落ち込み国家財政にも影響し、赤字国債の大量発行に繋がった。
こうした日本経済の最悪状態が続く中、2013年末衆議院選挙が行われアベノミクスを掲げる自民党が圧勝し政権へ復帰した。しかし、まだ参議院では野党が多数を占めるねじれ状態は解消されていない状態が続いた。
政権交代そして打ち出されたアベノミクスの第一の矢「異次元の金融緩和」により、超円高がみるみる解消され一気に25%の円安となった。円安が進むと同時に株価も上昇し、日経平均\9,000前後が一気に\14,000前後へと約50%上昇した。
この結果、日本の大企業の業績も一気に好転し、2013年3月期の決算は多くの会社が赤字から黒字へと転換した。トヨタに至っては純利益約1兆円と本来の姿に戻ってきた。しかし、パナソニック、シャープ、等々は構造改革最中でありまだ赤字である。しかし、2014年3月期の決算では改善が見込まれている。
以上が参議院選挙前のバックグラウンドである。ねじれが続いた過去6年間の日本国家の有様そしてこれから抜け出そうとする試み即ちアベノミクスを鑑みる中で行われた参議院選挙、誰がどう見ても通常の人の考えであればアベノミクスに賭けてみようと思うのが当たり前である。その結果ねじれ解消へと繋がったと考えるのが自然の流れではないだろうか。
しかし、アベノミクスはまだ始まったばかりで、これから難題を乗り切る正念場がやってくる。課題は山積している、この課題を順次クリアして行けるかどうか?今後の推移を注目して行きたい。
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