安倍首相の靖国神社参拝は自殺行為である
昨日、安倍首相が靖国神社を参拝した。このニュースを聞いた途端に思った事は、安倍政権が発足し、かって閉塞状態であった物事が順調に回復し、好循環に入ろうとしている矢先、自らそれを止める自殺行為を行ってしまったという思いでいっぱいであった。
中国、韓国との対話は途絶え険悪なムードが先行する中、安倍首相は常に対話のドアはオープンであると発信していた。ボールは相手側にあると言っていたのであるが、今回の行為はその真偽を疑われてもやむを得ない行為であった。そして対話のドアを自ら閉ざしてしまったのである。
今後、安倍政権が続く限りこの対話のドアを開けるのは至極困難極まるものとなったのである。おそらく、安倍政権下ではドアを開くのは不可能になったと言っても過言でない。
今回、誤算であったのは中韓の反発に加えて同盟国である米国まで「失望」の意を表明したことである。安倍首相は、日本側の立場で理由をいろいろ説明しているが、侵略を受けた側の立場に立てばどんな立派な説明であっても相手が理解してくれることはないのである。紛争を望まない第三者である米国でさえ理解してくれることは難しい。
今日になって、中国、韓国、米国に加えてEU諸国、ロシアまで批判をし始めた。日本外交はまさに四面楚歌の状態になってしまったのである。
安倍首相が何故、靖国神社参拝に固執するのか理解できない。国の命令により、尊い命を国のため捧げ戦った戦没者の御霊に尊崇の念を表すことは、安倍首相に限らず日本国民であれば当然のことである。戦没者への追悼の意を表す方法は靖国神社参拝以外の方法でも出来るはずである。
靖国神社は、宮司の判断で1978年にA級戦犯14名を合祀した。このA級戦犯合祀がきっかけで海外から靖国神社参拝が批判され始めたのである。即ち、「A級戦犯が合祀された神社への参拝は侵略戦争を正当化する行為」だと言われ始めたのである。
こういう背景があるのと重なって、天皇陛下の靖国神社参拝も1975年以降行われていないのである。と言うことは靖国神社自体、日本国民のみならず諸外国の指導者も含め、なんのわだかまりも無く真摯な気持ちで参り献花出来るような場所では無くなってしまったのである。安倍首相はここの所を理解していないのではないのか?
その証拠に、諸外国の指導者誰一人として、靖国神社へ参り献花に訪れたものはいないのである。今年、10月に来日した米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官は、これ見よがしに靖国神社ではなく、千鳥ヶ淵の戦没者墓苑に献花したのである。
今、安倍首相に求められる事は、国の内外身分を問わず誰でも真摯な気持ちで訪れる事が出来る、無宗教で戦争指導者を排除した国立の戦没者墓地を作ることである。米国のアーリントン墓地に相当するような。千鳥ヶ淵戦没者墓苑がそれに相当するのであれば、国家を上げて作り替え全戦没者(戦争指導者を除く)をここに集め、内外にアピールすることである。
安倍政権が発足して一年が経過、これまでの安倍政権の活躍は目覚ましかった。アベノミクスによる経済の復活、オリンピックの東京招致、沖縄普天間基地の名護市辺野古への移管へのメド、等々であるが、今回の靖国参拝によりこれらの努力が水泡に帰してしまうのではないかと心配する。菅官房長官を含め側近等も慎重な行動を願ったようであるが、首相の思い込みが強く決行に至ったようである。これこそまさに痛恨の極みである。
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コメント
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残念ながら、私は1月8日の関西TVの番組「アンカー」を見ていないので、青山繁晴氏のコメントに直接コメント出来ないのですが、青山繁晴氏は独自の取材網を持っていて直接電話取材等々を行い世間の一般論調と違う見解を示すコメンテイターであることは認識している。
そうだからと言って、過去青山氏がコメントした内容が全て正しくその通り行っているという証明はどこにもないのである。従い、青山氏の言うことが100%正しいと鵜呑みにするのではなく、そういう一つの見方もあるよと認識すべきと思う。
その証拠に、1月8日のWEDGE Infinity に発表されている、辰巳由紀氏(スティムソン・センター主任研究員)の記事 「靖国参拝を米国が許容出来ない理由」 ・・・日米の認識ギャップ・・・を読んで見て下さい。
ワシントンでアジア政策に何らかの関わりを持っている人たちの間では、今回の総理による靖国参拝は大問題として認識されており、安倍総理を見る目は格段に厳しくなっていると云う非常に厳しい論調になっています。
全文は非常に長いので、ここに掲載出来ません。詳細は下記のアドレスをクリックし、パソコンに取り込み読んで見て下さい。昨日の記事アクセスランキングトップになっています。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3484
投稿: 奥出雲・船通山 | 2014年1月 9日 (木) 10時53分
2014年1月8日、関西TVの番組「アンカー」の中で青山繁晴さんのコーナーを聞いて驚かされた。
安倍総理の靖国参拝の問題が日本のマスコミ報道と世界の受け止め方が全く逆であること。よって、「安倍首相の靖国神社参拝は自殺行為である」の論表はある意味、全く見当違いで間違いである。
TV番組の中で青山氏の話によると、中国は靖国問題で中国国内の半日デモを徹底して抑えていること、事実、大きなデモは現在まで起こっていないし、今年秋予定の北京開催のAPECで日中首脳会談も水面下では計画進行中であること。韓国もパククネ大統領が日韓首脳会談をやらないとは言っていないと発言。アメリカの「失望発言」も真実は報道とは違いがあり、米にとって日本はあくまでもアジアの第一の友好国であり沖縄普天間移転問題で辺野古埋め立てを了承したことを米として評価していること。
又、これらの事実よりも一番驚いたことは、現在の世界的常識からは「A級戦犯はいない」と言うこと。これはある面、「戦争は全体責任」であり特定の人物を戦争責任者にすることはないと言うこと。
よって「東京裁判」も当時の連合国の都合だけで決めたとこは歪めません。
今後の日本人としての教育不足、マスコミの偏見報道等等、なにかと考えさせるTV番組であった。
投稿: 福井 啓美 | 2014年1月 8日 (水) 19時02分
ネット調査結果によると、
「A級戦犯」とは、 ポツダム宣言に基づき、極東国際軍事裁判所により定義された戦争犯罪に関し
極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)により有罪判決を受けた者である。とあります。
日本が主権を回復した1952年4月28日のサンフランシスコ平和条約発効直後の5月1日
木村篤太郎法務総裁から戦犯の国内法上の解釈についての変更が通達され
犯拘禁中の死者はすべて「公務死」として、戦犯逮捕者は「抑留又は逮捕された者」として取り扱われる事となり
戦犯とされた人々のために数度にわたる国会決議もなされた。とあります。
解釈の仕方は色々とあると思われますが、一番のポイントは「捕虜への虐待行為」があったかどうか
であり、捕虜とは特に戦勝国=連合国(アメリカ、イギリス、中華民国)の捕虜を指します。
その後東条英機本人と東条内閣の閣僚を中心とした逮捕者がA級戦犯と認定された。後に総理大臣
となる「岸信介」もA級戦犯の一人である。
岸信介は3年間の獄中生活を送ったが、その後アメリカ合衆国の政策転換(共産国ソ連との対応策
つまり極東日本を防波堤とするため)、不起訴となり公職追放、後に復帰で総理大臣にまでなった。
岸信介の娘婿が安倍晋太郎、第90代と96代内閣総理大臣安倍晋三はその外孫である。
又、現在の自民党の中で保守派と言われる人の先祖にはA級戦犯者が多いと言われる。
と、ここまで述べてきて「戦争とはいかに愚かで惨めなこと」と感じる。特に敗戦の国民は惨めである。
遠い昔の戦国時代から「勝てば官軍」と言われ、こうなると「東京裁判」も現在の厳正なる裁判ではなく
戦勝国の都合で色々と解釈変更があったことが伺える。
今回の安倍総理の靖国参拝は「総理自身、いかなる事情であっても国益を第一とする公人」の立場
からはマイナス点しかないだろうと考える。特に中国、韓国に対する外交にはマイナスカードを切った
ことになり、このマイナス点を今後いかに回復してゼロに近づけるかが大きな課題である。
投稿: 福井 啓美 | 2013年12月28日 (土) 20時03分