イチロー、レギュラースタメン出場のチャンス到来か?
今季ニューヨークヤンキースは、超一流外野手2名を補強した。言わずと知れた、レッドソックスからのエルズベリー(30)、カージナルスからのベルトラン(36)、である。これにより、ヤンキースの外野手は生え抜きのガードナー(30)、昨年補強したソリアーノ(38)、そして我がイチロー(40)を加えるとレギュラー5人体制となる。
昨年度の成績並びに年齢等から判断すると、レギュラースタメンとして起用されるのは、エルズベリー、ベルトラン、ガードナー、の3名である。そして指名打者も兼務するソリアーノが次に控える。イチローは5番手である。
これは、既に年初から分かっていたことであり、5番手のイチローが出場機会を得るのは、時々指名打者としての出場、あるいは代打、守備要員、代走、としての出場が主な仕事だろうと考えられてきた。
外野手レギュラー争いの5番手・イチロー、ニューヨークのメディアはトレード候補の一番手として絶えず話題に取り上げてきた。イチローにトレードの拒否権がない事、高額年俸を考慮すれば、ヤンキースは必ずイチローをトレードに出すだろうと噂をしてきた。更に、外野手を必要として探している球団は、主力外野手を怪我で欠くタイガース、フィリーズ、等々の数球団が上げられ、実際にトレードを要望していたのである。
私自身も、レギュラースタメン出場が約束されないヤンキースにいるよりも、約束される球団に移った方がイチローの数々の記録を伸ばして行くためには良いのではないかと考えていた。
しかし、ヤンキースはイチロートレードに動かなかった。移籍のアドバルーンは、次々と打ち上げられてきたが、ヤンキースのチーム事情により、この話は一向に進展せず、イチローはヤンキースに残ることになったのである。
チーム事情というのは、誰かが怪我をして出場出来なくなることである。レギュラースタメンと予想される、エルズベリー、ベルトラン、ガードナー、の3選手は過去に大怪我をして長期離脱の経験者であり、いつ何時再発するかもしれないと言う恐れがあったからである。これに反してイチローの大きなセールスポイントは「丈夫なこと」、徹底した自己管理で怪我を未然に防ぐ術に長けている点である。
こうした背景のもと今年のペナントレースがスタートした。4月14日現在、ヤンキースは13試合を消化し、7勝6敗の成績で同率首位である。イチローが先発出場した試合は、予想通り4試合のみである。
ペナントレースがスタートして、まだ僅か13試合のみの消化であるのにも拘わらず、早くも首脳陣が予想していた怪我でリタイアーする選手が続出しているのである。特に、内野手が多く一塁手の控えがいなくなり、急遽キャッチャーのセルベリーが一塁手に回ったのである。所が、セルベリーも14日の試合で途中右太ももを痛め、イチローが代走に出たのである。
そして、ついに一塁を守る選手がいなくなり、監督は全ての選手に一塁を守れるかを打診せざるを得なくなったのである。マー君(田中将大)にも一塁を守れるかと声がかかったのである。この試合8回には、正捕手のマキャンを死球で跳ね返った球が直撃、治療でタイムがかかり、プレー続行が危ぶまれる事態が発生、捕手の控えであったセルベリーは既に怪我でリタイアー、またまたマー君に「過去、お前キャッチャーをやってたんだろう」と声がかかる始末であった。幸い、マキャンが治療後、プレーに復帰し、ことなきを得たのである。
結局、一塁には外野のベルトランが回り、後のライトへはイチローが入ったのである。この選手起用が大当たりで、イチローは8回レッドソックスの主砲オルティスが放った右中間への大飛球を全力で背走、ジャンプしてフェンスに激突しながら好捕するというスーパープレイを演じ、宿敵相手の勝利に貢献し首位タイに浮上したのである。
余談であるが、このスーパープレイの後、ヤンキースタジアムはイチローコールで沸き、百戦錬磨のイチローですら胸にジーンと来るものがあったと後でコメントしていた。そして、打ったオルティスは、イチローの反応の早さ、無駄のないコース取り、球際での集中力、悔しがるどころか拍手で称え 「あれはニンジャ(忍者)だ」 とうなったそうである。
イチローに取って、レギュラースタメン出場が約束されていた過去は、4月は 「準備期間」 として位置づけ、スロースタートするのが常であった。所が、今年はレギュラースタメンが約束されているのではなく、何時出番が回ってくるか分からない状態でのスタートであり、「4月の段階からトップギアに入っている状態にしておかなければならなかった」 のである。
出場のチャンスが回って来たときに活躍して自分の存在をアピールしないと、次チャンスが回ってくるのが少なくなる恐れからである。イチローは、今年の自分が置かれている立場をよく理解しスタート、先発出場した4試合でマルチ安打3回、18打数8安打5得点、1盗塁、打率4割4分4厘、と結果を残しているのである。
ペナントレースがスタートしてから僅か13試合しか消化していないにも拘わらず、首脳陣が心配していた怪我人が続出したのである。当初、外野手での怪我人が出ることを心配していたが、あに図らんや内野手で続出となったのである。
この結果14日の試合では途中から、正右翼手のベルトランが一時的に内野に移り、その後にイチローが入ったのである。皮肉にも、第5の外野手と揶揄されていたイチローが守備力の高さで脚光をあびたことにより、周囲の見る目は確実に変わって来るだろうと思っている。監督としても今後の展開でイチローをレギュラースタメンとして使わざるを得なくなるのではないか?と推測される。イチローに再びチャンス到来か?頑張れイチロー!
これもイチローが日頃から野球に対し、人一倍真摯な取り組みを行って来ている結果(証拠)であると信じている。
イチローのスーパープレイのビデオがYouTubeから出ています。興味ある方は、下記アドレスをクリックして参照頂ければと思います。
« いずこにも、容赦なく押し寄せて来る時代の波 | トップページ | 青天の霹靂 「急性心筋梗塞 入院治療」 顛末記 »
「スポーツ」カテゴリの記事
- WBC・第5回大会・結果のまとめ・・・日本優勝で終わる(2023.03.25)
- MLB異次元のスーパースター・大谷翔平・・・二刀流として本格的に開眼(2021.11.04)
- 東京2020オリンピック(五輪)終了・・・光と影についての雑感(2021.08.11)
- 大相撲名古屋場所明暗を分けた二人・・・明とは大関・照ノ富士/暗とは横綱・白鵬(2021.07.21)
- 米紙から五輪中止提言相次ぐ・・・緊急事態宣言延長で現実味を帯びてきた(2021.05.08)
« いずこにも、容赦なく押し寄せて来る時代の波 | トップページ | 青天の霹靂 「急性心筋梗塞 入院治療」 顛末記 »
コメント