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2014年6月 1日 (日)

「北朝鮮 拉致再調査 約束」ぬか喜びに終わらないことを祈る

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5月29日、政府は北朝鮮が拉致被害者や拉致の疑いのある特定失踪者を含む日本人の安否を包括的かつ全面的に再調査すると約束したと発表した。長年、日本ののど元に刺さった棘であり、歴代政権が解決に努力してきたが、全面解決に結びつけるのは難しく長引いていた問題である。

北朝鮮が行って来た拉致は、何の罪もない日本人を北朝鮮の国家謀略(北朝鮮を利する謀)に利用するために行った国家犯罪である。従い、本来であれば何の駆け引き(取引)もなく返してもらうのが筋であるが、現下の情勢では難しく、見返りとして日本独自で行っている制裁の解除と人道支援する方向で解決を図ろうとするものである。

拉致被害者の家族の高齢化も進み、もう一刻も猶予が出来ない状況下であることを鑑みれば、ここらで何とか全面解決を図って欲しいと願うのは日本国民であれば誰でも願う所である。安部首相をトップに政府関係者には全力で解決に当たり、ハッピエンドに終わるように頑張ってほしい。

所が、このように期待だけが先行するのも、いかがなものかと危惧せざるを得ないのである。ご存じの通り、相手は通り一遍に信頼出来る相手ではないのである。過去、幾度となく裏切られてきたか?相手は無法国家である。日経コラム春秋の言を借りれば、座標軸がゆがんでいる のである。自国の利益の為には、麻薬の栽培輸出であろうが、核を含む武器の輸出であろうが、テロであろうが、お構いないしに行って来た国である。

今回、このようなチャンスが訪れたのは、日本側の努力の結果が実を結んだのも一つの見方であるが、むしろ北朝鮮側の都合による方が強かったとのではないかと思っている。即ち、北朝鮮は今年に入ってから孤立していたのである。北朝鮮と対立する日米韓との対話はもとより、北朝鮮のバックアップ国である中国が距離を置き、関係が冷え込んでいたのである。中国の窓口であり、改革開放路線を進めようとしていた張成沢(チャン・ソンテク)氏を昨年末に粛正してしまったからである。

そこで、北朝鮮はこうした膠着した状態の打開を図ろうと、日本がかねてから執着していた拉致問題を利用して、日本からの見返りを得ようとしているのである。そして、あわよくば米国との対話の突破口に結びつけようとしているのである。

第二次世界大戦前後に北朝鮮で死亡した日本人の遺骨調査も含まれており、現在も約2万1600柱は残っており、この遺骨引き取りに北朝鮮は1柱当たり400万円要求していると言われているが、はたしてどう解決されるのだろうか?

私が最も心配する最悪のシナリオは、日本が認定している拉致被害者17名の中、現在北朝鮮に残っていると言われる12名(5名は帰国済み)を調査した結果、大半は死亡していて生きているのは数名という結論が出てくるのではないかと心配するのである。今は、この心配が杞憂に終わることをただ願うのみである。

そうでないと過去数十年に渡り、拉致被害者の帰国を一日千秋の思いで待ち焦がれていた家族に取って、あまりにも理不尽な結末となるからである。

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