脳死女児は「デバイス・ラグ」の犠牲者・・責任の所在を明確に
1月13日、日本臓器移植ネットワークは大阪大病院に入院していた6歳未満の女児が臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表した。そして、女児の両親は日本国内では臓器提供が少ない現状を強く感じておられ、迷わず娘の臓器を移植待機されている方々へ提供したいと決断されたのである。
心臓移植までの間、低下した心機能を補い、患者の命をつなぐ補助人工心臓は、海外で使用可能な医療機器なのに日本では使用できない
「デバイス・ラグ」 の象徴とされてきた。
女児の両親が望んでいたのは、ドイツ・ベルリンハート社製の小児用補助人工心臓の取り付けであった。同社の補助人工心臓は、欧米では使用実績も豊富で、日本でも使用を求める声が医師や患者から上がっていた。日本で治験が始まったのは平成24年で、治験の途中結果は上々で1年以上の使用に耐えられるとの見通しが出ており、今夏の承認が期待されていたのである。
しかし、今回の女児には間に合わなかったのである。ベルリンハート社製の小児用補助人工心臓は、命に関わる患者には特例的に使用が認められる場合があると言われていた。
大阪大病院によると、女児は心不全が急速に進んだため、最初にすぐ付けられる簡易型補助人工心臓を取り付け、その後ベルリンハート社製の小児用補助人工心臓に切り替えを検討していたが間に合わず、血栓が脳に飛び脳梗塞を起こしたと説明している。
今回、私が問題であると感じたのは、女児の両親が発表したコメントを、日本臓器移植ネットワークが一部削除して発表していたことである。移植ネットは、「両親の了解を得て削除した」
としているが、「全文を公表してほしい」 との両親からの強い申し出があり、大阪大病院は1月14日、コメント全文を明らかにしたのである。
日本臓器移植ネットワークは、自分らが都合悪いと判断される部分を削除していたのである。即ち、削除された部分で両親は、国内では子供用の補助人工心臓が認められておらず、やむなく簡易な補助人工心臓を使っていた事を説明し、「他のお子さまとご家族に同じことが起こらないためにも一刻も早く改善して頂きたい」
としていたのである。更に「娘が命をかけて伝えたかったメッセージだと思う」 との記述も削除されていたのである。
公益社団法人“日本臓器移植ネットワーク” が今回行った行為は、法律的には瑕疵はないにしても、典型的なお役所仕事で都合の悪いところは隠すという例であると思っている。
厚生労働省も 「デバイス・ラグ」 の犠牲者が出ている事実を強く認識し、一刻も早く改善されるように行政指導すべきであると感じた次第である。
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