後藤さん殺害・・・何故過去の教訓は生かされなかったのか?
2月1日、イスラム国に人質として拘束されていた日本人フリージャーナリストの後藤健二さんが殺害された。過去にこうした事件は幾度となく繰り返されてきたのである。何故、過去の教訓は生かされなかったのだろうか?
後藤健二さん、湯川遙菜さんがイスラム国に人質として誘拐され、釈放の条件としてイスラム国は日本政府に2億ドル(約240億円)の身代金を要求してきた。法外な身代金であることと、身代金を支払うということ自体、テロとの戦いに屈したことになるので、とうてい支払うことは出来ないだろうと推測していた。
予想通り、日本政府は1円・1ドルたりとも払わないと決断し通告したのである。すると、イスラム国は身代金の代わりにヨルダンにとらえられているテロの実行犯である、サジダ・リシャウィ死刑囚と後藤さんの交換を要求してきたのである。
ヨルダン側は、イスラム国に拘束されているヨルダン軍のパイロットのムアーズ・ カサースベさんとヨルダンに捕らわれている他の死刑囚を含めた2:2の交換を提案したのであるが、この時既にパイロットは殺害されていたので、イスラム国は後藤さんとリシャウイ死刑囚との交換に固執したのである。ヨルダンにとって、この要求は理不尽であり到底飲める案ではなく拒否した結果、後藤さんは殺害されたのである。
ここで私が問題視するのは、過去にもこのような事件、即ちどこの企業・団体にも所属しないフリーのジャーナリスト・ボランティアが勝手に危険地帯に入り込み拘束され身代金を要求される事件である。どこかの企業・団体に所属していたのであれば、所属長がいて決して危険な所へ行くなど許可しないはずである。
フリーであるが故に、どこかに所属しているジャーナリスト・ボランティアには出来ない取材活動あるいは支援活動等々が出来るのであるが、それも自分自身の身柄が安全であってこそ生きてくるということを自覚すべきであると思う。
事件当初、後藤さんがイスラム国に入ることに関して “誰もそんな危険地帯へ行くな!” と注意しなかったのかなと不思議に感じていたのである。後藤さん自身ビデオで
“自己責任で危険地帯へ入って取材を行う” と発言していたのである。
自己責任で入るというのであれば許されるのかという事であるが、一端事件が起これば自己責任で責任を取ることなど出来ず、結果的に多くの人々に迷惑をかけることになるのである。それでも行くということは危機管理意識が欠如しているのか、自分は民間人でジャーナリストであるからまさかそんな危険目に遭うことなどないと甘く見ていたのではないのか、と推測するのである。
これは、後藤さん殺害後に知ったことであるが、日本政府即ち外務省は後藤さんの渡航計画を事前にキャッチし、電話で2回、直接面会して1回、渡航中止を要請したとのことであった。それでも、後藤さんはそれを振り切ってイスラム国へ入ったのである。
悔やまれるのは、政府は何故もっと強い態度で勧告出来なかったかである。即ち、危険地帯へ入るというのであれば渡航計画自体を強制的に中止させるという手段を取らなかったかである。法治国家であるが故にそんな強制的な事は出来ないということであるのだろうか?
しかし、この手の事件はこれからも必ず起こると思われる。これを機会に、日本政府が危険地帯であると認定する地域へは、いかなる個人・団体とも政府の許可なしには入ることは出来ないという法的処置をすべきであると感じたのである。
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