日経コラム記事を読んで共感を覚えた話題
2015年4月7日、日経夕刊一面のコラム
“あすへの話題” の記事として、弁護士・元検事総長の但木敬一(ただきけいいち)氏の記事 「公の裁き」 が載っていた。これを読んでいると何か共感を覚えたので、是非皆さんにも読んでみてもらいたいと思いここで取り上げて見ました。既に、新聞で読まれた方には重複しますがご容赦願います。
ここに出て来る話は、小説・フィクションとして書かれた物語かと思わせるが、実際に起きた話である。まるで江戸時代の大岡裁きのような感じを受けたのである。昭和40年代の話であるが、情状酌量という事が見事に裁きとして取り上げられているのである。
以下は、但木敬一氏のコラム 「公の裁き」 の抜粋である。文字の色を変えて記述しています。
罪を犯して裁きの場に立たされる身はつらい。ただ稀には裁きを受けることで救われる人もいる。
舞台は昭和40年代の下町。仲の良い兄妹が平和に暮らしていた。兄はすでに家庭を持ち、生まれたばかりの子供もいた。妹は2ヶ月先に迫った結婚式を控え、両親の家で生活していた。
そこに3年近く行方知らずだった末弟がひょっこり帰ってきたのだが、仕事を探す気もなく、昼は2階でごろ寝、夜は大酒を飲んできては大騒ぎ。おまけに酒代をねだられた母親が断ると、引きずり回したり殴ったり。妹の縁談が壊れかねないと心配した兄は、末弟に仕事を見つけてやるから働けと繰り返すのだが、馬の耳に念仏。
一月ほどたった日曜日、両親が出かけた後、3人だけの家、兄が2階に上がり、寝ている弟にいつものように説教したが、弟は「うるせー」と寝返り顔を下にした。ついに我慢の限界を超え、近くに置いてあったバットで弟の後頭部を強打し、頭がい骨を割ってしまう。
2階の異様な雰囲気に気付いて上がってきた妹が目にした光景は、呆然と立ち尽くす兄とうめく弟。兄独り殺人者にはできないと、妹は枕元にあった果物ナイフで一突き、死体は床下に。
3年後幸せそうな2つの家族の父と母、つまりこの兄妹が弁護士に伴われて警察に自首してきた。「何回も何回も弟の夢を見ます。心の休まる日なんてありません。罰を受けないで、幸せな日なんて来ないんです。二人で泣きながら何日も話した末に、自首しようと決めたんです」。
あの時の二人は、私には仏のようにさえみえた。裁判の結果、兄懲役5年、妹懲役3年執行猶予5年。
というのが、この話である。昭和40年代といえば、大学を卒業して就職、就職したての新米であり、当時は会社の寮で暮らしていたので、ろくに新聞も読むこともなかったので、こんな事件があったとは全く知らなかった。
翻って、今は悠々自適、晴耕雨読の身であり、いろいろな媒体による情報・ニュースはくまなく見る方である。但し、苦手な分野があり、そちらにはほとんど目が向かない。それは、若い人々が絡む芸能ニュース、音楽で言えばJ-Pops、等々である。
いずれにしても、こうして平々凡々と自由な時間を悠々と過ごせるのは、後どれだけで残されているのだろうか?平和な世に生まれ、大きな災害にも巻き込まれることなく、大病に遭うことなく、ここまで来ることが出来たのは、人生の小さな勝ち星であると感謝しなければならないと思っているこの頃である。
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