大阪都構想否決・・・将来の「発展ビジョン」幻となる
2015年5月17日(日)、「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が実施され、反対70万5585票、賛成69万4844票、その差僅か1万741票という僅差で否決された。
投票が終わり開票が始まるとテレビの前に釘付けになり、その行方を注視していた。最初は、賛成票が少し上回る状況で推移していたが、開票率が81%を越した当たりで、急にNHKの調査見通しが入り反対派が最終的に勝利するとの報道がなされ、愕然とし大ショックを受けたのである。
大阪都構想は 「大阪将来の発展」 の為には是非可決しなければならないという思いが非常に強かった為、落胆の度合いも並大抵ではなく、この晩は悔しくて良く眠れなかったのである。
何が勝敗を分けたのか、自分なりに推測してみると、「大阪の未来」
についてはほとんど争点とならず、身近な問題ばかりが焦点として取り上げられ、大阪都構想が実現しても住民サービスは良くならない、むしろ弱者(高齢者・女性)にとってはサービスが切り捨てられるといったネガティブ・キャンペーンが功を奏したのではないかとみている。
キャスティングボードを握ったのは、60歳以上の老人パワーであったと感じた。この年代は、有権者も多くネガティブ・キャンペーンにより、地下鉄・市営バス等々の敬老パス、老人医療の優遇が受けられなくなるといったキャンペーンのお陰で60歳以上では51.8%が反対、70歳以上では実に3分の2に当たる63.8%が反対に廻ったのである。全体としては賛否拮抗していたが、60歳以上の人々の投票結果が最後の決着をつけたのではないかと思った。
大阪都構想に対する戦いは、基本的には守旧派と改革派の戦いであった。守旧派即ち、既得権益を失う各党(自民・公明・民主・共産)、業界団体、地域団体、そして既得権益を守ろうとする大阪市議、大阪市職労、が一致団結して、改革派である大阪維新の会へ立ち向かったのである。
まさに多勢に無勢、過去の選挙で維新の会に翻弄させられていた連中が、呉越同舟(自民党・公明党と民主党・共産党)で将来の見通しも何もないのに、今度ばかりは結束して現状維持を訴えたのである。現状維持は、対案でも ビジョン でもないのに,政策も主張も正反対の自民と共産が手を組むとはまさに言語道断であると言わざるを得ない。
橋本徹という未曾有の維新リーダー、革命児、風雲児、旋風児、いろいろ形容されるが、突出が目立つ出る杭である。「出る杭は打たれる」
の如く、京都大学教授・藤井聡をはじめとする学者と言われる連中からも反対運動をされたのである。何故、政治経験もなにもない学者 (国の税金で飯を食っている連中) が出て来て、ごちゃごちゃかき回すのか腹立たしく思っていた。公開の場で橋本氏と討論を行えば、ということになるとそれを避けたのである。私は決して学者と呼ばれる連中の言うことは、やっかみ半分であると信じてはいなかったのである。
兎にも角にも、賽は投げられた。しかし、問題が解決して終わったのではない。現状維持に決まっただけで、大阪を取り巻く環境は依然として非常に厳しく、大阪のGDPの全国に於けるシェアは低下傾向が続き、地盤沈下は否めない。更に、三大都市圏で最も早く人口減少を迎え、全国を上回るスピードで高齢化が進んでいる。二重行政も解決した分けでもない。果たして大阪都構想なしでこれらの問題を解決できるのか?疑問が残されたままである。
そして、私が最も危惧するのは、20年~30年先を見た大阪将来の発展へと導く構想 (ビジョン) が葬り去られたことである。大阪将来の発展を願うのであれば、現状維持といった狭い範囲のみで行政を考えるのではなく、大大阪として取り組まなければ解決出来ない問題であるからである。目標となる都市は、海外のシンガポールであり、大ロンドンである。これらの都市を参考とする内容については、3月23日発行のブログ 「大阪都構想は是か非か・・・長期的視点で判断すべき!」
(文字をクリックすると繋がる)で述べているので、此処では述べない参照ください。
いずれにしても5年間に渡る革命児、橋本徹の大阪改革の挑戦は終わったのである。果たして今後、彼に変わるような傑出したリーダーは出て来るのであろうか?出て来て欲しいが、私が生きている間には難しいのではないだろうか?かって大阪は、「堺屋太一」、「安藤忠雄」、という傑出した ビジョナリスト 生んできた街でもある、若くて勇気のある維新の志士が出て来て欲しいと願う次第である。
都構想 実現による 夢ビジョン 幻となり むなしさ残る
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