失望した米中首脳会談・・・オバマ氏に戦略なし勉強不足だ!
2015年9月25日、オバマ米国大統領と中国の習近平国家主席の間で会談が行われた。会談に先立って行われた歓迎式典でオバマ氏は
「米国は根本的な真理について遠慮なくものを言う」 と述べ、南シナ海領有権問題などを念頭に紛争の平和的解決や人権問題の改善を要求した。習氏はお互いの利害を尊重しながら協力する
「新型大国関係」 の推進を訴えて反論した。
所が、実際の会談に入ると、いずれの問題についても、米国の要求に対して中国は以前からの主張をかたくなに通し、米国への妥協を許さなかった。交渉結果から受けた感じは、中国の反論に対して有効な攻め手を欠く、オバマ氏の戦略のなさ、勉強不足という感 が際立ったのである。
いずれの問題についても、中国側は米国が何を要求してくるのか読んでいて、どう回答するのかをあらかじめ用意周到に準備し、その通り物事を運んだのである。
米国側でも中国が回答してくる内容は、事前にある程度想定出来き、わかっていたはずであるから、何故もっと事前に優秀な人材・頭脳あるいはシンクタンクを使い攻め手を研究して来なかったのか?疑問を抱いたのである。
サイバー攻撃問題
事前の情報では、米国は連邦人事管理局が攻撃を受けて職員らの個人情報が盗まれた事件に中国が関与したと見ており、中国に制裁をちらつかせ会談に臨んだのである。
この問題では、一定の緊張緩和に合意した。即ち、米中は産業スパイ行為について政府が実行したり支援したりしない事で合意し、サイバー犯罪に関する捜査協力のため、年2回開催する閣僚級対話メカニズムを導入した。
しかし、米国は米企業の知的財産権を標的としたサイバー窃盗を続けている中国を批判し、制裁を科すことも検討すると言及したが、習氏は一切の関与を否定した。オバマ氏は会談後の協同記者会見で
「仕事はまだ終わっていない。行動が重要だ、今後を注視する。」 と明言し依然として中国に対して不信感を抱いていることを伺わせたのである。
事前のオバマ氏の意気込みからすると、何か中途半端な妥協で終わった感じが否めない。中国の軍部の関与が明確になっているにも関わらず、習近平氏は中国もサイバー攻撃を受けていると主張し、白を切り乗り切ったのである。
南シナ海問題
南シナ海問題は、昨今急に浮上したかのように受け止められているが、そうではなく長い間をかけて中国が用意周到に進めて来た問題である。当初ベトナムやフィリピンが支配していた南シナ海の西沙諸島、南沙諸島、を中国はいろいろな手段を使って占領、そして昨年あたりから埋め立て人工島を作り、軍事基地化し不沈空母に仕立てようとしているのである。
最初に中国が行ったのは、ベトナム戦争が終結しアメリカ軍が撤退した後、1974年にベトナムが支配していた西沙諸島の一部を占領したのである。次に、1980年代に入りソ連の経済危機が発生、ソ連によるベトナム支援が出来なくなり、ベトナム軍が弱体化、これにつけ込んで1988年ベトナムが支配していた南沙諸島6カ所を占領したのである。
更に、フィリピンが支配していた南沙諸島のミスチーフ礁に目を付け、1995年台風が来てフィリピン軍が一次退却している間にこれを占領、1999年に軍隊を駐留させ実効支配してしまったのである。
このような経過をたどって来た南シナ海問題であるが、オバマ氏の主張は従来の域を出ず、これを習近平氏が軽くいなすという型どおりの展開に終わったのである。国防総省は、中国が建設し
「主権」 を主張している人工島12カイリ (約22キロ) 内で、米軍艦船を航行させるように大統領に進言している。
しかし、オバマ氏は国際的な対中批判を高める 「創造的外交」
に頼ってゴーサインを出さずにいるのである。言葉だけの威圧と行動を欠いた対処では、中国の実行支配は益々強化されるのみである。
25日の共同記者会見では、米国の他近隣諸国が懸念を強める南沙諸島の人工島建設について、習近平氏は 「自国の領土主権と合法、正当な海洋権益がある」
と述べた上で、「軍事化を図る意図はない」 と主張して批判を一蹴したのである。
会談直前に、人工島での3000メートル級滑走路の相次ぐ完工が米側で明らかになったことを踏まえての発言だけに妥協を拒む姿勢が明確に米国に伝わる結果となった。
人権問題
オバマ氏は共同記者会見で、中国による記者や弁護士、非政府組織
(NGO) への厳しい規制やキリスト教会の閉鎖について 「問題だ」 と習近平氏に伝えたと説明。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世との対話も促した。
これに対して、習近平氏は 「国によって歴史や現実が違う。全ての国で発展の道を独自に選ぶ権利が尊重される必要がある」
と反論、譲歩しない立場を改めて示した。
首脳会談で中国の人権状況について大きな進展が見られなかったことで、中国国内では人権派弁護士やNGOの活動家に対する締め付けがさらに強まる、との見方も出ている。
そして、オバマ氏が、台湾問題で米国の関与を示す
「台湾関係法」 に言及したときには、厳しい態度で発言を無視したのである。
総括
今回行われた米中首脳会談は、米国が問題とであると言うテーマについて行われたのであるが、ほとんど成果らしい成果を上げることなく終わったのである。オバマ氏が習近平氏に、いいようにあしらわれたと言う印象であった。中国が革新的利益とみなす件については一切譲歩がなかったのである。
習近平氏の米国経済界に焦点を当てたシアトル訪問では、ボーイング社の飛行機300機発注するなど大盤振る舞いをし、更に米中経済協力を促すなど友好ムードを盛り上げる演出があった。オバマ氏との会談に先だって、経済協力を強く打ち出したことは、一種の目くらまし ではなかったのか?と勘ぐりたくなるように感じたのである。
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