新国立競技場建設問題・・納得いく形で解決するのだろうか?
2015年9月7日、今朝の日経コラム
「時流・地流」 に 「愛されるスタジアムとは」 と題して、広島カープの本拠地マツダスタジアムと東京オリンピックの陸上競技場として新しく建設される新国立競技場の比較が載っていた。
広島東洋カープの新スタジアムの建設地が、東広島駅貨物ヤードに決まった2005年当時、繁華街の至近距離にあった旧広島市民球場は徒歩で300メートルであったが、今度は徒歩で800メートルであり、大きなハンディキャップになるのではないか?と観客動員の面で危惧されていた。
あれから10年、危惧は杞憂に終わったようである。2009年の球場開業後、JR山陽本線沿いを広島駅からマツダスタジアムに至る800メートルの道は、いつしか 「カープロード」 と呼ばれるようになり、試合当日赤いレプリカユニホームを着たファンがにぎやかに往来する光景がいまや名物になったのである。
そして、そのマツダスタジアムの観客動員数が200万人の大台を超えそうだ。10年前の105万人からほぼ倍増となる見込みである。
「カープ女子」 が象徴するファン層の広がり、関係者の努力により、工夫やバラエティーに富んだ球場の設計が観客の強い支持を集めているようだ。
マツダスタジアムの総工費は約90億円である。市や県の負担に加えて、経済界から16億8000万円、市民から1億2500万円の募金を集めて賄ったのである。こうして形づくられた
「おらがチーム」、「おらが球場」 という意識が広島の野球熱の根底にあるのだ。
カープとマツダスタジアムの県内経済効果は今年約288億円に達すると予測されている。約90億円の投資に対するリターンとしては上々ではないかと言われている。
一方、新国立競技場のほうであるが、物議を醸した旧計画は2520億円に膨らみ、あまりの高額さに関係者のみならず、一般の人々も度肝を抜かされたのである。しかも、これをメインとして使用するのは1回限りである。
即ち、オリンピックに相当するビッグイベントが次いつ開催されるか決まっていないからである。サッカーのワールドカップ招致の話もあるが未知の話である。ラグビーのワールドカップ
(2019年9月開催) に間に合うのかどうか?もはっきりしていないのである。
計画は見直され整備費の上限を1550億円として新たに事業者の公募が始まるのである。所が、問題なのは維持管理費である、50年間で1000億円を超えるとされている。今後いろいろなイベントを招致するとして試算される収支は年間20億円超の赤字見込みである。果たして、この試算のままですんなり行くのだろうか?疑問が残る。
問題はどこにあるのだろうか?建設費用のほとんどが国の税金で賄われる、親方日の丸方式にあるのではないだろうか?これでは、関係する人々、組織委員会、共々自腹を痛めることなく、真剣に赤字をなくそうという発想は出て来ないのではないかと危惧するのである。
民間の場合、赤字が続くような事業であれば、即打ち切られる。そして、担当者であれば責任が問われる。従い、初めから赤字になるような事業には手を出さないのである。
コラムの最後の締めとして結んでいるのは、「国威発揚の場は出来ても赤字を垂れ流すスタジアムは人々に愛されない」 である。マツダスタジアムの例を一つの指針として、関係者、組織委員会、に頑張ってもらい、大方の人々が納得する形で進めてもらいたいと望むものである。
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