ラグビーW杯・・・日本善戦するもベスト8の夢かなわず!
2015年10月12日、ラグビーW杯日本の戦いは終わった。正直言って、初戦の南ア戦に勝利した時は、必ず1次リーグを突破し、ベスト8へ進出できると信じていたのであるが、やはりそうは甘くなかったのである。
しかし、今回のW杯での戦いを見る限り、日本のラグビーは長足の進歩をしていると感じた。ラグビーは、サッカーほど不条理ナスポーツではなく、実力がものを云う世界であり、1次リーグの結果を見る限り、やはり実力のあるチームが順当に勝ち上がって来ていると感じたのである。
初戦で、日本が南アを破った時は、決してフロック勝ちではないと思っていたのであるが、南アのB組に於ける後からの戦いを見ると、南アの強さはひときわ目立っていた。即ち、対サモア戦 46:6 、対スコットランド戦 34:16
、対アメリカ戦 64:0 、の如くである。この強い南アを接戦ではあったが、よく逆転で破ったものだ、今から思うと奇跡に近い勝利であったと再認識させられた。
では何故、1次リーグで3勝もしたのにベスト8に進めなかったのか?これには落とし穴があったと感じた。即ち、ラグビーの伝統国を優遇する階層制があり、ティア1グループ、ティア2グループ、に予め分けられていて、試合の日程がティア1グループを優先するように組まれていたのである。
ティア1グループとは、ラグビーの伝統ある強豪国、ニュージランド、オーストラリア、ウェールズ、南ア、アイルランド、フランス、アルゼンチン、イングランド、スコットランド、の9ヶ国である。残りの11ヶ国はティア2グループである。
これにより、日本は初戦でティア1の南アと対戦、中3日於いて更にティア1のスコットランドと対戦すると言う厳しい日程であった。南アとの戦いは最強豪国相手であり、全力で当たらなければ勝てない熾烈な戦いであった。そして、南ア戦の消耗も充分に回復していない3日後、スコットランドと対戦したのである。
選手層の厚い強豪国であれば、格下相手に主力を休ませ、力を温存するという作戦を取ることも出来たのであるが、日本にはそんな余裕などなかった。相手のスコットランドは、日本戦が初戦であり、体力を充分温存、更に日本が南アを破ったことを知った後の戦いであり、日本を警戒し作戦を充分に練り、戦いに臨んで来たのである。
対スコットランド戦は、後半10分頃までは良いプレーをしていたのであるが、そこから疲れによる集中力が切れ、大量点を許してしまった。結果は、45:16 という大差になったが、点差ほど実力差はなかった。これは、スコットランドの記者も認めているところである。
今更、たらればの話ではないが、初戦でスコットランドと当たり勝利、2戦目で南アと当たり敗れるという形での3勝であれば、文句なしに一次リーグ突破出来たのである。大会前の目標であった3勝をあげながら、ベスト8進出できない初のチームとなり、南ア戦の世紀の番狂わせ に続き、“最強の敗者” という新しい歴史をワールドカップに記し たのである。
最終戦の米国戦は、米国にとっては南アと当たった後中3日での日本戦となり、日程的に厳しい戦いとなった。ここまで1勝もしていない米国は、是非日本に勝利し1勝したい所であった。過去のW杯で日本と米国は2回対戦し、いずれも米国が勝利していた。
そこで、米国は一計を案じ、南ア戦では主将のワイルズを温存、対日本戦に焦点を合わせて来たのである。この結果、対南ア戦は、64:0
という一方的なスコアで敗れた。こうまでしても、対日本戦での勝利を得ようと必死の戦いを挑んで来たのである。
試合前に決まっていた1次リーグ敗退、だが日本のアメリカ戦にかけるモチベーションは高かった。「両チーム共に決勝トーナメントへは行けないが、プライドの戦いだ」、エディー・ジョーンズHCのかけ声は、この試合の意義を如実に表していた。
今回のW杯、明らかに日本はラグビーの歴史を大きく塗り替えた。どう塗り替えたのかと言えば、私はこう見るのである。即ち、ラグビーの強さによってA、B、C、とグループ分けし、更にそのグループ毎に上、中、下、と分けるとすると、W杯の前の日本の定位置は、“C組の下” であった。
しかし、今回の活躍でその位置は、“B組の下” まで上がって来たと評価する。即ち、以前の位置では1次リーグを突破しベスト8進出はかなわぬ位置であったが、歴史を塗り替えた後の位置では、ベスト8進出が可能な位置になったのである。ランクをCからBへ一つ上げたのである。
さあ次は2019年、4年後の日本でのW杯開催である。エディー・ジョーンズHCはもういない、誰がどのようにシナリオを描き選手強化を図って行くのだろうか?興味津々である。しかし、一方では前途多難な道が待ち受けている。今回進歩した日本のラグビーの位置 “B組の下” をキープし、更にステップアップして行かねばベスト8への道は切り開けない。ガンバレAll Japan!
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