2016年1月に行われたスポーツ・イベントに関する雑感
1月に入って前半は比較的温かったが、大寒に入る週から本格的な寒さがやって来た。しかし、スポーツの世界は寒さを吹き飛ばすかの如く、いろいろなスポーツが精力的に行われ、見ている者を楽しませてくれた1月であった。ここでは、1月に行われたスポーツ・イベントについてその感想を述べてみたい。
1.錦織圭の全豪オープンでの戦い(挑戦)
1月のスポーツ・イベントの中でも最も注目していたアイテムである。今年こそは、グランド・スラムのどれか一つでも取って欲しいと言う期待の現れからであり、そのグランド・スラムの第一戦・全豪オープンだったからだ。
1回戦~3回戦迄は、格下相手の戦いであり、僅かに1セット落とすのみで全く危なげのない勝利であった。4回戦で初めてトップ10の相手、第9シードのフランスのツォンガとの戦いとなった。ツォンガには昨年の全仏オープン・準々決勝でフルセットの末敗れている相手である。
過去のツォンガ戦は、いつも苦しい戦いになり、勝利した試合は全てフルセットであり、今回も苦しい戦いになるだろうと予想していた。所が、あに図らんや今回は2時間2分という3セットのストレート勝ちであった。
「全体的に球が深く入り、彼のしたいテニスをさせなかったのが良かった。」 とコメントしている通り、今季の好調さを端的に表す好試合となった。
それだけに、次の準々決勝で当たる王者ノバク・ジョコビッチ戦にひょっとしたら勝てるのではないかと淡い期待を抱いたのである。所が、世の中そう簡単に問屋が卸してくれなかったのである。結果は1セットも取れない完敗であった。
出だしは良く、第1セット第6ゲーム迄は順調にサービスをお互いにキープする展開であった。所が、第6ゲーム錦織のサービスゲームで40-0とリードしていたが、突然ミスが続きデュースに持ち込まれ、最後ダブルフォールトでブレークを許してしまった。
この後から、錦織のアンフォーストエラー(凡ミス)が続き出した。ウィナー(決定打)も結構多かったのであるが、肝心要の所でアンフォーストエラーが出て試合の組み立てに苦しみだした。相手のサービスをブレークするチャンスも幾度か掴んだけれども、一発で決めようと焦りミスを誘発 して、結局1~2セットでは一度も相手サービスをブレーク出来なかった。
第3セットに入り、第2ゲーム、第4ゲームでブレークしたが、直後のゲームで全てブレークバックされ、リードが続かない、第7ゲームもブレークされた。そして、そのまま押し切られ、ストレート負けで全豪オープンは幕を閉じたのである。
結局、王者ノバク・ジョコビッチを過剰に意識するあまり、焦りから余分な力が入り、本来の錦織のテニスが出来なかった。非常に良いショットもあり、結果は完敗であったが、力の差はそれほど開いていると感じなかった。
これから必要なことは、精神面で強くなり、過剰な意識をしないようにすることである。そこで、提案であるがサービスの前に 「気を落ち着ける為のルーチンワーク」 でも取り入れてみたらどうだろうか?五郎丸、琴奨菊、等が取り入れているように!
そして更に、セカンドサービスを磨き、セカンドサービスでリターンエースとなるような返球をさせないようにすることである。今年の試合はまだ始まったばかりである。今後のツアーで頑張って欲しいと願うものである。
2.大相撲初場所で琴奨菊 初優勝
正直言って、琴奨菊が初場所でここまで活躍するとは全く予想していなかった。それもそのはず、昨年の成績を振り返ると、初場所が9勝6敗、春場所が8勝7敗、夏場所が6勝9敗の負け越し、名古屋場所が8勝7敗、秋場所が11勝4敗、九州場所が8勝6敗1休み、でありとてもすぐに優勝に結びつくような内容ではなかったからである。
その間には怪我もあり、引退も間近ではないかと思わせる日々が続いていたからである。何が琴奨菊を変えたのだろうか?昨年、琴奨菊は結婚し、妻に優勝を約束したという。守るべきものができると、人は強くなるのだろうか?
いや、それだけではないだろう。専属のトレーナーをつけ、筋力・体幹トレーニング、メンタルトレーニング、等々を繰り返し行うという努力が実ったのだと感じた。そして、立ち会いで制限時間いっぱいになると、行ういわゆるルーチンワーク、背を反り返らせ、大きく塩をまく動作もメンタル面で大きく貢献しているのではないかと感じるのである。
いずれにしても、10年振りの日本出身力士の優勝である、他の日本人力士も大いに刺激を受けたのではないだろうか?特に、稀勢の里当たりが発憤し、「よし俺も続くぞ」 と感じてくれるのを望むのである。来場所は、綱取り場所となる。初場所のような攻める相撲がとり続けられるのであれば、可能性もなきにしもあらずと思っている。
3.ラグビーパナソニック・ワイルドナイツの活躍
今年のラグビートップリーグのプレーオフ決勝戦は、宿敵のライバル同士であるパナソニック・ワイルドナイツと東芝ブレイブルーパスの激突となった。この両者は、昨年の12月12日予選リーグA組でも顔を合わせ、17対17の引き分けに終わっていた。
実力が拮抗した両チームであり、今回の決勝戦もお互いに厳しい戦いになることが予想された。案の定、緊迫した試合運びが続く中、パナソニックが27対21とリードしながら、終盤戦を迎えた。後半の終了間際、東芝が最後のスクラムから攻撃に転じ、ゴール前へ攻め込みキック、バウンドが味方してトライを奪い、1点差に迫ったのである。
ゴールが決まれば逆転と思いながら観戦していたが、最後のゴールキックは左にそれ、逆転劇は未完となった。まるで、昨年のW杯、日本VS南アフリカ戦の再現かと思わせる結末であった。
パナソニックにとっては、まさに薄氷の勝利であったが、3年連続で4度目の優勝となったのである。過去2年と違って今年は紙一重の戦いとなったが、王者のしたたかな戦いは不変であることを感じさせてくれた。
そして1月31日、日本選手権が行われた。今年度は、W杯等もあり日程が混んでいたことから、トップリーグ優勝チームと全国大学選手権チームの一発勝負で行われることになった。トープリーグ3連覇のパナソニックと全国大学選手権7連覇の帝京大との戦いとなった。
過去の日本選手権での社会人対学生の戦いから判断して、社会人チームが有利だろうと思っていたが、案の定結果は49対15という大差でパナソニックの勝利に終わった。帝京大の一人ひとりの当たりの強さ、タックル、等々はパナソニックにひけを取らないと感じたのであるが、試合の展開、構成、連携、等々の精度の高さで社会人王者が圧倒した。
これでパナソニックは三洋電機時代を含めて、2季ぶり5度目の優勝、そしてトップリーグと日本選手権の2冠を達成したのである。今季は年頭所感で望んでいた通りの結果に終わった。来季も継続して頑張って欲しい。
4.サッカー男子のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選
五輪出場を決める、準決勝はイラクとの戦いになった。ここで想い出すのは、「ドーハの悲劇」 である。1993年10月23日に行われた米国W杯アジア最終予選である。勝てばW杯初出場が決まる一戦で、試合終了間際CKから追いつかれ、初のW杯キップを逃したのである。
今回の戦いも、場所は全く同じドーハであり、相手も全く同じイラクであり、「歴史は繰り返す」 の如く、またやられるのではないのか?と心配していたのであるが、若い日本代表U-23 (23才以下) は過去のいきさつは何のその、プレッシャーを押しのけ見事に勝利し、五輪キップをつかみ取ったのである。
ここで見落としてはいけないのが、手倉森監督の采配である。毎回、先発メンバーを替えながら、打つ手打つ手を見事に的中さす手腕は、たいしたものであると感心せざるを得なかった。
そして1月30日、U-23アジア選手権決勝戦が、日本対韓国戦という宿敵同士の戦いで行われた。前半20分に1点、後半初めの47分に1点と韓国が2点先行し日本が追う形となった。日本に取っては非常に苦しい戦いとなったのであるが、今大会の日本の特徴である、粘りの堅守、終盤の体力、思い切った選手の投入、等々が後半功を奏す形で現れたのである。
即ち、後半60分に投入された 「最後の駒」
浅野が登場から僅か7分後に、左斜めに入って来たスルーパスを相手GKの鼻先で合わせゴールへ流し込む見事な得点であった。これが、日本を反抗へ導く初得点となり、夢をつないだのである。
そして、その1分後に八島が頭で合わせ同点となった。勢いづいた日本は、81分に再び浅野が抜け出し決勝点を決めた。見事な逆転勝利となり、アジア制覇を成し遂げたのである。と同時に今までさんざん苦杯をなめさせられていた相手韓国を久々に一蹴したのである。この勢いをそのままに、本番五輪でも良い成績を残すことを期待したい。
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