黒田バズーカ第三弾・炸裂・・・以前と同じ効果を発揮するのだろうか?
2016年1月29日、日銀は金融政策決定会合を開き、銀行から預かる当座預金の金利をマイナス0.1%にする、新たな追加金融緩和策を決めた。日本では、初めて取られるマイナス金利策である。1月19日の国会答弁で、黒田総裁はマイナス金利の導入は考えていない と発言していたので、驚きを持って受け止められた。いわゆる、黒田バズーカ第三弾の炸裂 である。
原油安、中国不安、等々外部要因による市場動揺で企業や家計の心理が悪化、物価上昇の基調が崩れかねないと判断し、物価2%目標の達成に向けて、追加的な金融緩和措置を講じたのである。
2012年12月26日、第2次安倍内閣が発足と同時に、経済政策としてアベノミクスがスタートした。アベノミクスの3本の矢の中の一つとして、「大胆な金融政策」 が入っていた。
2013年3月20日、大胆な金融政策を実施するため、日銀の人事変更が行われた。即ち、反リフレ派総裁であった、白川方明総裁を更迭、そしてリフレ派である黒田東彦総裁、岩田規久男副総裁、中曽宏副総裁、という体制が取られた。
すると、黒田総裁はすぐに手を打ち、2013年4月4日に 黒田バズーカ第一弾 と言われた金融緩和策を打ち出したのである。即ち、デフレ脱却を目指し、過去に類を見ないような 「異次元緩和」 を行ったのである。日銀が金融機関に供給する資金量 (マネタリーベース)
を年間60~70兆円に増加と、プラスαの策が取られたのである。
第一弾の結果、為替は1カ月半で1ドル=93円台から103円台まで約11%円安が進行。日経平均も1万2362円から1万5627円と約26%上昇した。このように黒田バズーカ第一弾は、日本経済に非常に大きな効果をもたらした。特に為替が100円台迄下落したのは、リーマンショック後日本企業が海外へ工場移転を加速させていたのを、振り返らせる切っ掛けを与えたのである。
黒田バズーカ第一弾の結果、アベノミクスが順調に進み出し、2014年4月日本政府は待望の消費税率を5%から8%に上げたのである。所が、消費税率アップ後の日本経済は足踏み状態に陥った。このままでは安倍政権が目指す 「デフレ脱却」 の実現も危ぶまれるようになった。
2014年10月31日、日銀は意表を突く形で追加金融緩和策を打ち出した。即ち、黒田バズーカ第二弾 である。黒田バズーカ第二弾では、資金供給量 (マネタリーベース)
を更に年間10~20兆円増やして80兆円に拡大と、プラスαの策であった。
第二弾の結果、為替は1ヶ月間で1ドル=109円台から121円台まで約11%円安が進行。日経平均は1万5658円から1万7920円迄と約14%上昇した。その後、一服した後2万1000円手前まで上昇したのである。
黒田バズーカ第二弾の結果、消費税増税後もたついていたアベノミクスを見事に立ち直らせ復活させたのである。その後、2015年前半迄は 為替は1ドル=121円前後で推移、日経平均も2万円前後をキープし続けたのである。
所が、2015年6月12日中国株の大暴落が始まった。中国政府は株価の暴落を食い止めるために様々な対策を講じたが実を結ばず、上海総合指数はピーク時から約40% (5000→3000)
下げた。これにより、中国経済の減速が明らかになり、あちこちに影響が出始めた。
日経平均、NYダウ、等々にも影響し始め、ジリジリと下がり出したのである。2015年11月~12月頃にかけて一端回復の兆しが見えて来たのであるが、今年に入り原油価格の値下がりが更に加速したことにより、日経平均、NYダウ、共に影響を受け再び下がり出し、現在はピーク時から約12%~19%下がったところ当たりにいる。
中国経済の減速、原油価格の暴落、と言った経済の足を引っ張る外部要因の為、比較的安全資産と見なされている日本円は買われ円高も進み始め、日本経済の先行が不透明になり出して来た。
アベノミクスを順調に進めるパラメータである株価、為替が逆回転し始めた2016年1月29日、 黒田バズーカ第三弾 マイナス金利政策が実施されたのである。実施された直後は、株価が4~5%アップ、為替が2~3%下落と少し良い方向へと向かった。
しかし、黒田バズーカ第三弾は、第一弾、第二弾と 同様に機能するのだろうか? 少し疑問を持って見ている。何故なら、経済の足を引っ張っている要因がいずれも外部要因であるからだ。
特に、中国経済の減速が問題である。生産設備が過剰であるにも関わらず、構造改革という手が打てないのである。手を打てば失業者が雲霞の如く増えて、収集がつかなくなる恐れがある。これが、やがて共産党批判へ繋がる事が心配されるからである。
今年のダボス会議 (世界経済フォーラム) で、ジョージ・ソロスは、「中国経済のハードランディングは不可避である。これは予想ではない。実際に目にしていることだ。」
と発言している。
このように中国経済の減速がいつまで続くのか?立ち直れるのか?あるいはハードランディングを起こし、世界中に混乱をまきちらすのか?全く予測がつかない状況下であり、黒田バズーカ第三弾を持ってしても、中国経済の減速に立ち向かうのは難しいのではないかと思うからである。
いずれにしても、向こう2~3ヵ月間日本経済の動きを注視し、黒田バズーカ第三弾がどう機能したのかを判断したいと思っている。
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コメント
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マイナス金利は「禁じ手」であり、世の中の不安定感と窃盗犯罪が増加する!
そのこころは、マイナス金利が蔓延し一般市民は預金を控えて「所持金増加」と「タンス預金」が増えるからである。
住宅ローンなどの借金をかかえている人にとっては金利が下がり確かにある面有利になるかもわかりませんが、
預金が減り消費を抑えるため、景気ダウンの方向に向かうのは見え見えである。
結論としては、黒田総裁はあほである。
投稿: kfのんびりゆったりあせらずに | 2016年2月 7日 (日) 09時28分