日経コラムにトランプ・ショックを恐れる記事 「魚は頭から腐る」 現れる
2016年12月2日(金)、日経新聞・朝刊のコラム “大機小機”
にトランプ・ショックを恐れる記事現れる。題目は、「魚は頭から腐る」 である。
魚は頭から腐るというが、排外主義を公言してきたドナルド・トランプ氏を次期大統領に選んだ米国はまさにそれに当たる。トランプ発の保護主義の連鎖は世界経済危機を招きかねない。自国第一主義の強権政治が世界にはびこれば、大恐慌後の1930年代を連想せざるをえなくなる。とコメントしているのである。
トランプ氏は選挙戦中からTPPからの離脱を明言していた。そして、既に協定が発効済みであるNAFTA(北米自由貿易協定)については、再交渉を主張していた。
もし、NAFTAを見直すことになれば、メキシコ経済に大打撃を与えるだけでなく、日本を含めメキシコと自由貿易協定を結ぶ世界中の国との生産ネットワークを分断する。これは、英国の欧州連合(EU)離脱交渉で自由に市場アクセスが出来ないハードな離脱になるのと似ている。と論じている。
一方、トランプ氏はインディアナ州で演説し、「企業はこの先、影響を伴わずに米国を離れることはないだろう」
と述べ、高関税などの手段をちらつかせて米企業の海外移転を強く警告した。そして、NAFTAは 「全くの被害」 と批判し、「それは変わるだろう」
と見直しの必要性を改めて示唆したのである。
トランプ氏は大統領就任前から、インディアナ州にある私企業、空調大手のキヤリア社と工場のメキシコ移転中止で合意したことを成果としてアピールしている。その裏には、米国企業が海外移転した場合、移転先の工場から米国に輸入した製品に
「重税を課す」 という脅しをちらつかせて行ったものである。
問題なのは、混迷する世界でポピュリズム (大衆迎合主義) を背景に強権政治が広がっていることである。ロシアのプーチン政権、中国の習近平政権、トルコのエルドアン政権、等々は典型的な例である。更に、英国のEU離脱決定と連鎖して、EU内にも極右勢力が台頭してきていることである。
オーストリアでは12月4日投票が行われる大統領選挙に、「緑の党」 元党首アレキサンダー・バン・デ・ベレン氏と、極右政党 「自由党」 議員で国民議会第3議長を務めるノルベルト・ホーファー氏の2人の候補者の間で争われるが両者は拮抗している。メディアの中には、トランプ氏が米大統領で当選した勢いに乗って、ホーファー氏が欧州初の極右政党出身大統領に選出されるのではないか?といった予想が出ている。果たして結果はどうなるのか?
イタリアでは12月4日、憲法改正の是非を問う国民投票が実施される。レンツィ首相が提案する憲法改正案は中央集権化につながり、国民投票において否決されると見込まれている。同首相は、否決の場合、辞任すると明言している。この結果、反グローバル化を標榜する勢力が台頭してくることになり、ユーロ離脱の是非を問う国民投票へと繋がって行くのではないかと懸念されている。
フランスでは、来年春に大統領選挙が行われる。左派 「社会党」 を率いるオランド大統領の支持率は10%台に低下、既に立候補を諦めている。ここでは、中道・右派陣営の統一候補フランソワ・フィヨン元首相 と極右政党として人気を集めている 「国民戦線」 のマリーヌ・ルペン党首が大統領の椅子を争う事になりそうだ。中道・右派の候補の勝利を願うのであるが、果たしてどうなるのか?
いずれにしても、世界中でポピュリズム、反グローバル化といった 「頭から腐る」 現象が広がりつつある中で、日本の役割は重要である。トランプ氏を説得して、排外主義を改めさせ、TPPを生かすことが出来るのかどうか?来年の大きな課題となったのである。
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