劉暁波氏の死を持って知る・・・中国共産党の恐ろしさ
7月13日、2010年に獄中でノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏が亡くなった。劉氏は、1989年の天安門事件の直前に、広場でハンストを実行した知識人の一人であった。
2008年暮れに他の民主活動家等と一緒に共産党による、一党独裁の廃止や司法の独立などを求めた「08憲章」を起草した。その後、当局に身柄を拘束され2010年2月に「国家政権転覆扇動罪」で懲役11年の実刑判決を受けた。
2010年12月、獄中で劉暁波氏はノーベル平和賞を受けた。100年を超える歴史でも異例といえる獄中にある人への授与は、中国に人権状況の改善を迫るねらいがあったのである。
所が中国は、「劉氏は犯罪者、受賞は平和賞の趣旨に反する」とノルウェーに反発し、同国産サーモン輸入を事実上制限し、巨大な購買力を武器に圧力をかけた。中国にモノ申せば痛い目に遭うという空気を作り出し、他の国にも授賞式をボイコットするように呼びかけたのである。
劉氏の死去は国営新華社の英語版が速報した以外、中国国内のメディアは全く報じていない。CNNなど海外のテレビ放送も劉氏のニュースになると中断する状況が続いている。
SNS(交流サイト)などを通じて関係者の間では情報が広まったもようだが、報道規制のなか若者等は劉氏の名前すら知らず、一般市民の間で劉氏の死去はほとんど話題となっていないようだ。
EUのトゥスク大統領とユンケル欧州委員長は、劉氏の死去を受け共同声明を発表。「EUは中国における(言論や思想を理由に収監されている)良心の囚人を全て解放すべきだと改めて要求する」と中国政府に訴えた。
そして、米国のティラーソン国務長官も「劉氏は祖国と人類の改善、正義と自由の追求に人生をささげた」との声明を発表した。
台湾の蔡英文総統も自身のフェイスブック上でその活動を称え、「民主主義を実践し、全ての人々が自由と尊厳を持てるようにすることが真の大国になることにつながる」と中国側に呼びかけている。
中国外務省はこれらの各国の反応に対して、「関係国がこの問題を利用して中国の内政に干渉すべきではない」とのコメントを出している。
所が、中国の足下では、言論や思想への締め付けが強まっている。政権に批判的な人々への弾圧は深刻になっている。5年前に発足した習近平政権は、言論、情報、への統制をこれまで以上に強めている。2年前の7月には人権を守る活動などをした中国の弁護士等が一斉に拘束された。
言論、思想、人権、等々は一国の内政問題として扱われるものではなく、人類共通の普遍的価値として取り扱われるべき問題である。
天安門事件は今、風化の危機にある。中国国内で暮らす大学生等は、封印されてしまった現代中国の重要な事実を全く知らない。世界第2位の経済大国の若者が自国の現代史を知らないとは重大な問題である。これが共産党独裁国家の本質であると知れば知るほど、空恐ろしさを感じるのは私のみであるのだろうか?
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