注目の米朝会談が行われた・・・非核化と平和体制構築は実現するのだろうか?
2018年6月12日、注目していた政治イベント米朝トップ同士による初めての会談がシンガポールのカペラ・ホテルで開催された。開催が危ぶまれていただけに、何とか開催にこぎ着けられたことは評価出来る。
開催されたことに対すると評価と会談の中身、即ち成果とは別である。会議の詳細については、いろいろなメディアで数多く報道されているのでここでは述べない。
会談の成果、共同声明の重要なポイントの一つである、“米国は北朝鮮の体制保証、北朝鮮は完全な非核化への取り組みを約束” を謳っているが、果たしてこれが上手く機能して完全な非核化へと進んで行くのだろうか?これからのプロセスを見てみない事には評価は難しい。
1年後、2年後、更には5年後、を見たときどうなっているのだろうか?完全な非核化が進み、朝鮮半島の永続的で安定した平和体制が構築されているのだろか?時間を追って見てみなければ、成果は明らかにならない。
と言うのは、過去の非核化の歴史を見ると、北朝鮮は金王朝3代に渡って約束事を全て反故 にして来ているからである。
1992年、金日成時代に南北が交わした 「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」 を北朝鮮は1993年NPT(核拡散防止条約)脱退宣言を出し反故にしたのである。
1994年、金正日時代に約束した 「米朝枠組み合意で北朝鮮の核施設凍結・解体」 を2002年にウラン濃縮計画を明らかにし全て白紙に戻してしまった。
2005年、金正日時代に行った 「6カ国協議の共同声明で全ての核兵器と計画破棄」 を確認したのであるが、核の検証手続の文書化を巡り決裂してしまった。6カ国協議は、2003年8月第1回から2007年3月第6回まで中国北京で計9次の会合が行われたが、結局実を結ぶことなく終了してしまった。
2012年、金正恩時代米国オバマ政権と交わした 「核実験と長距離ミサイルの開発の凍結」 の約束を人工衛星と称したミサイル発射実験を強行して無効にしてしまったのである。
ここまで過去の非核化の歴史を見てくると、今回行われたトランプ大統領と金正恩委員長との間で交わされた合意、「朝鮮半島の完全な非核化」
は果たして実現するのだろか?疑問を抱かざるを得ないのである。
今回の合意で 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID) の文言が入っていないので、これからの協議で詳細を詰めて行くことになっているが、この協議は一筋縄では行かず長期間
(数年) かかると予測される。この交渉過程で躓き、行き詰まることも多々予想されるからである。
日本に関して言えば、最も重要なのは拉致問題であるが、トランプ大統領の進言により、北朝鮮がこれをすんなり認めて交渉にスムースに入って行けるのかどうか?予断を許さないと見ている。
後は、日本政府とりわけ安部首相の意気込みである。小泉首相時代に北朝鮮へ乗り込み会談を行ったのと同様に、金正恩委員長と直接向き合い、話し合い解決へ結び付けて行く以外に方法は残されていない。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」 の心境で頑張って欲しいと願うものである。
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