今後の中国経済・国際政治の見通し・・・それに繋がる動向に注意すべきこと
2020年初頭、新型コロナが発生してから中国は一貫してゼロコロナ政策を取り続けて来た。以後2年間は上手く行き(コロナが大きく蔓延することがなく)、今後もこの政策を継続して行くことになった。
しかし、欧米各国がゼロコロナ政策ではなく、コロナワクチンを使用したコロナ共存政策を取り続ける中、中国は2022年もゼロコロナ政策を継続する選択を行っている。
これに対して、欧米各国はコロナが一度蔓延し続けると、ゼロコロナ政策は都市封鎖(ロックダウン)を余儀なく去れ、経済活動を阻害する危険な政策であると論評していた。
2022年3月に上海でコロナが蔓延し始め、都市封鎖が始まった。その後、約2ヶ月間都市封鎖が続き、経済に大きな打撃を与えた。西側諸国の予見通りとなった。2022年7月下旬に差し掛かる頃であるが、ゼロコロナ政策は継続しており、経済の足を引っ張る原因になっている。
中国に進出している日本企業も影響を受け、12,706社あった中で940社が既に撤退している。
更に、加えてハイテクで外資「排除」の国家標準を改訂し、中核部品を含めて中国国内で設計、開発、生産をするように求める。外資企業は中核技術を渡すか、中国市場から事実上撤退するかの判断を迫られる。
都市封鎖は「奇跡の都市」と呼ばれた香港の隣に位置する「深圳市」にも波及し、過去40年間少なくても20%の経済成長をしてきたのであるが、今年第一・四半期はわずか2%となっている。
深圳市には、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、不動産開発大手の中国恒大集団が存在する。
ファーウェイは5Gネットワークがらみで米国の制裁を受け都市封鎖とのダブルパンチを受けている。
不動産の中国恒大は都市封鎖の以前から事業を見境なく拡大した結果、部分的な債務超過を繰り返している。それに加えて都市封鎖が加わり不動産バブル崩壊も深刻化している。
中国に於ける経済の先行き不安が高まっている。景気の減速感が高まり、中国から逃避する資金が増加している。雇用・所得環境も悪化し、社会不満も増大している。
まるで日本で起きたバブル崩壊時代のような様相を呈している。日本の場合、バブル崩壊が約10年以上続き、大手証券会社、大手銀行、等々が倒産した。ITバブル時期も重なり、新卒者が就職出来ない、就職氷河期も生まれた。
ゼロコロナ政策による経済不振、不動産バブルの後始末、等々やっかいな問題が山積している中、今年の秋中国共産党大会が開催される。予定では、習近平氏が第3期の国家主席に選ばれることになっている。
世界の情勢はウクライナ問題で迷走を極めている、そして中国が国内問題で低迷し続ける中、習近平は国家主席として内部を穏便にまとめ切れるのだろうか?
現在、中国によって行われている台湾周辺、日本周辺、等々に於ける示威行為は、今年の秋習近平氏が第3期の国家主席に選ばれるまでは穏当に行い、力による台湾制圧と言うような施策は取らないだろう。
一方、軍事面では過去20年間の蓄積・蓄えがあり、台湾を支援する西側諸国(特に米国)と言えども簡単に手出しは出来ないだろう。
しかし、習近平が第3期国家主席に無事着任にし、第3期施政を始めるとなると改めてこの問題が吹き出して来る。その時までに中国国内問題がどのような形で決着しているのかが、次の論点として浮上してくるだろう。
いずれにしても中国の台湾統一と言う目論見は、中国が専制主義国である限り、永遠に続く命題でもある。