フォト
無料ブログはココログ

カテゴリー「宇宙に関する話題」の記事

2015年12月12日 (土)

金星探査機「あかつき」がくれた教訓・・・見習う価値がある


にほんブログ村

2010521日、金星探査機 「あかつき」 は、種子島宇宙センターから打ち上げられ、約7ヶ月後の127日に主力エンジンを逆噴射して減速し、金星周回軌道へ入る予定であった。所が、12分間噴射する予定が23分にとどまった。ここのため、予定の軌道に入ることが出来ず、金星を通り過ぎてしまったのである。

この時の模様はテレビ中継された。主エンジンが逆噴射され、「あかつき」 が一端金星の陰にかくれ、次に出て来た時には金星の軌道に乗っているはずであったが、通り過ぎてしまったのである。当時、すぐには何が起きているのか分からず、何故?と悔しい思いをしながら見ていたのである。

原因は、後の調査の結果、“主エンジンに燃料を送り込むパイプにある 「逆止弁」 と呼ぶバルブが開かなかった” という故障に起因したのである。

金星の軌道へ投入するチャンスは唯一度だけである。従い、ここで失敗すると次チャンスが巡って来るのは5年後の2015年と計算し予測されていた。しかし、当時の思いとしては、「言うは易く行う難し」 であった。何故ならば、この5年間に 「あかつき」 は太陽の回りを9周してやっと、金星軌道へ再投入されるチャンスが来るからである。

5年間と言えば、宇宙の時間感覚で言えば瞬時かもしれないが、地球より内側の軌道を5年間9周も飛行すれば、太陽から受ける熱による機器の劣化、燃料の消耗、設計寿命の4年半を過ぎている、等々ハザードは予想以上に多いのである。

兎に角、当初の予想通り、金星の軌道に再投入出来るという 「千載一遇のチャンス」 がやって来たのである。このチャンスを生かすも殺すもJAXA次第である。

JAXAはこの5年間、「千載一遇のチャンス」 を生かすため綿密な計画を立てて臨んだのである。即ち、1.主エンジンが故障している為、姿勢制御用の小型エンジン4機を同時に逆噴射させる、2.小型エンジンは推進力が主エンジンの1/5以下でありこれを補うため、2028秒という長い時間噴射させる、3.何万通りかの軌道計算を行い、最適な軌道を見つけこの軌道に乗せる、4.手順を細かく規定し手順通りに、12月7日午前851分に逆噴射を行う、等々を極めて的確に行ったのである。

その結果、遂に軌道投入に成功、金星探査機 「あかつき」 が教訓を与えてくれることになったのである。即ち、一度失敗しても次に来ると予想される 「千載一遇のチャンス」 を狙って、綿密な計画を立て、手順を間違わずに実行すれば、名誉挽回 or 汚名返上 を果たすことが出来るということである。

日本の宇宙探査は、ハヤブサ1号機の如く、数々の困難に遭遇しながら叡知を振り絞り、困難を乗り切り解決して成功に導いて来た経験がある。今回の 「あかつき」 についても、不撓不屈の精神で事に当たれば道が開けるという事を教えてくれたのである。

振り返って、我々の人生に於いてもこれと同じような事が言えるのではないだろうか?長い人生その行く先には岐路が幾つもあり、中には千載一遇というチャンスもある、ここでそのチャンスを掴めるか否か?は人生に賭ける真剣さによって決まるのではないだろうか?運によるという人もいるだろうが、運を掴むことが出来るのもそれを掴む資質があるからだと思っている。

バブル経済崩壊後の不況期に新卒者だった人々は、就職氷河期世代と呼ばれ、多くの人々が正規の軌道 (正規労働者) に乗ることが出来ず、意図しないな軌道 (非正規労働者) に乗っているのである。

現在この世代は40歳代に達し、3544歳の壮年非正規労働者が増加している。正社員を望みながら機会に恵まれなかったこの世代は2014年時点で70万人に上るという。

一億総活躍社会という漠然としたスローガンが叫ばれているが、まず最初に就職氷河時代に遭遇した ロスト・ゼネレーション(別名:貧乏くじ時代) と呼ばれる世代に対して再度チャンスを与えることから始めたら良いのではないだろうか?「あかつき」 の教訓を糧に是非チャンスを掴んで欲しいと願うのである。

2011年12月20日 (火)

偉大な旅人「ボイジャー」

以前にも取り上げたが、NHKBSプレミアムで毎週火曜日にCosmic Front (宇宙最前線) という番組が放送されている。毎回いろいろなテーマが取り上げられ放送されている。

何故かしらこの番組は、私の好奇心をくすぶる番組であり、引き込まれるように魅せられ毎回必ず見ている。ビデオで録画して2~3回繰り返し見ることもある。

今回は、偉大な旅人「ボイジャー」を取り上げる。ボイジャーは、惑星探査機として1977年に打ち上げられ、木星、土星、天王星、海王星、の探査を行い数々の成果を上げ、そのミッションをほぼ終了し、34年経った現在も太陽系を離れる位置を飛行し、未知なる宇宙へ向かって進んでいる。何かしらロマンを感じる。

電源は、これから先まだ25年は持つため、二度と地球へ戻ることのない永遠の果てしない旅路を進んでいる。太陽系の外に何があるのか探査しながら、未知なる荒野を他の恒星(太陽に一番近い)に向かって飛行している。

アンテナを絶えず地球に向けて飛行しているため、現在もNASAへはその位置情報を送り続けている。NASAのホームページを見ると現在どこを飛行しているのかが時々刻々と情報として入って来ている。新しい物を発見すれば、カメラで写しその情報も送って来る。まさに「偉大な旅人」である。

惑星探査を行う場合、天王星まで行こうと思えば、計算上30年以上かかるはずであった。ところが、1966年グランドツアー計画というレポートが発表された。これによると、木星、土星、天王星、海王星、が1970年代の後半にほぼ同じ方向に並ぶことがわかり、それぞれの惑星の重力を利用したスイングバイという航法を利用して飛行すれば、海王星まで12年で行けることがわかり、この計画がNASAへ提案され実現したものである。

しかし、宇宙は広すぎて太陽の隣の恒星(ケンタウルス座)と言えども、そこまでの距離は光の速さで4.3光年かかる。現在のボイジャーのスピード17Km/秒(弾丸の10倍のスピード)では、約7万年以上、アポロ宇宙船であれば12万年以上、となり実用的な時間で到達することは不可能である。一瞬にして、夢が砕け散る計算結果である。

我々が住んでいる天の川銀河の直径は10万光年、太陽系は中心から2.6万光年離れた所に存在しその周りを210Km/秒のスピードで回っている。従い、天の川銀河を一周する時間は、2億5000万年である。あまりにも広すぎて、スターウオーズというSF映画ですら想像出来ない世界である。これにも関わらず、人間の未知への好奇心というものはつきないものである。

太陽系が天の川銀河を回るシュミレーション映像が You Tube にアップロードされています。興味ある方は、次の文字をクリックして見て下さい。

Milky Way in 3D

2011年9月28日 (水)

史上最大の天体ショー(超新星爆発)は見えるのだろうか?

NHKBSプレミアムで毎週火曜日にCosmic Front (宇宙最前線) という番組が放送されている。最近見た番組の中に、恒星がその一生を終えて最後に超新星爆発を起こす寸前の星- -オリオン座にある巨星ベテルギウス- -についての放送が行われた。

その星は、一生の99.9%を終え死の目前で最後は超新星爆発を起こす。超新星爆発の直前に星の中心から大量のニュートリノが放出されることが知られている。

岐阜県飛騨市の山中、地下1000mにある巨大観測装置スーパーカミオカンデでニュートリノを検出し、世界のどこよりも早く爆発の兆候を捉えようと訓練が行われている。早ければニュートリノを検出した数時間後に超新星爆発が起きると予想されている。

この星は、太陽の1000倍と巨大で表面は紅蓮の炎で覆われている。しかも一部がこぶのように飛び出している。「太陽がバスケットボールだとすると、ベテルギウスの直径はエッフェル塔ほどもある」大きさである。太陽系と比べてみると、地球軌道をはるかに超え、木星近くまで達する。

有史以来、肉眼で目撃された超新星爆発は7回ほどしか確認されていない。地球から最も遠いものは大マゼラン雲の超新星1987Aで16万光年、その他ケプラーの超新星16000光年、ティコの超新星7800光年があり、最も近いカニ星雲の超新星でも距離は6500光年離れている。それに比べてベテルギウスまでの距離は640光年とわずかである。もしベテルギウスが超新星爆発を起こせば、これまでにない近さでの大爆発となる。しかも、死の瞬間の大爆発では、太陽3億個分の明るさを放つという。

そこで心配なのが大爆発の地球への影響である。星が死ぬ時は、強力なガンマー線が放射される。このガンマー線が地球を直撃するとオゾン層が破壊され、太陽の有害な紫外線が地表や海面近くまで降り注ぎ、地球生命に大きな影響を及ぼす可能性がある。

ガンマー線が放射されるのは、ベテルギウスの自転軸から角度にして2度以下であると知られている。つまりベテルギウスの自転軸が地球を向いているかどうかがカギを握る。ハッブル宇宙望遠鏡でこの自転軸がどこを向いているのか観測が行われた。その結果、地球に対して自転軸は幸運にも20度ずれていた。従い、至近距離にあるベテルギウスが爆発を起こしても地球環境に影響を及ぼすことはなさそうである。

それではベテルギウスが爆発した時、地球からはどのように見えるのだろうか?それは、次のような経過をたどって見える。

1. 色は赤から青に変わる。(温度が急上昇しているためである。)

2. 1時間後ベテルギウスはどの星よりも明るく輝く。(誰もがその異変に気付くようになる。)

3. 3時間後明るさは更に増し、満月のおよそ100倍のまぶしさで輝く。(たとえ昼間であっても青空の中に明るくきらめく。)

4. この明るさは3ヶ月間も続くと予想される。

5. 4ヶ月たつと星の色が青からオレンジに変わりはじめる。(温度が下がり出す。)

6. やがて温度は更に下がり、色は赤になり、そして暗くなって行く。

7. 4年後、ついにベテルギウスは肉眼で見えなくなる。

有史以来我々が目にしたことのない至近距離での超新星爆発はいつ起こるのだろうか?2011年1月、ある記事がインターネットで話題になった。「2012年にベテルギウスの爆発が起きる。」という記事である。本当だろうか? 真偽のほどは? いずれにしても、生きているうちに、人類史上最大の天体ショーを目撃したいものである。