2025年万博・大阪夢洲・開催に決定・・・負の遺産脱却なるか?
2018年11月24日未明、2025年の万博が大阪湾に浮かぶ人工島
「夢洲(ゆめしま)」 に決定した。2025年に大阪で万博が開催されるとなると実に55年振りとなる。少し感想を述べて見たい。
“2025年の大阪夢洲・万博開催おめでとう”、と素直に喜びたいところであるが、今から7年先の話である。7年先ということは、私の年齢は満82歳である。
私に取って人生の次の一里塚となるのであるが、果たして健康寿命を維持した状態でここまで到達出来るのだろうか?今の健康状態から判断すると “ノー” である。しかし、大阪での万博開催は夢のある話であり、何とかここまで到達したいと言う人生の目標になると思っている。
大阪湾にある夢洲は、大阪府・市の負の遺産となっていた。1977年から埋め立てが始まり、情報通信産業などを集積した
「新都心」 とする構想があったが、バブルがはじけてご破算となった。
そして、2008年大阪にオリンピックを招致の話が持ち上がり、オリンピック開催時は選手村として利用する計画になっていたが、招致レースは北京に敗れ幻となり、負の遺産を解消することは出来なかった。
大阪府・市は何とかこの負の遺産を解消したいと言う積年の思いを持っていた。万博開催は2014年夏、松井知事や当時の大阪市長だった橋下徹氏らが打ち出し、府が2016年11月に国に基本構想を提案し具体化した。
日本はフランスに続き、閣議了承を経て2017年4月に立候補した。その後、ロシアとアゼルバイジャンも名乗りを上げ、4カ国による誘致レースがスタートした。所が、有力なライバルとみられていたフランスが今年2月に立候補を取り下げた。
これにより、日本が競争に勝ち抜くチャンスが少し増大したと感じた。最終的に、加盟国による投票結果、日本がロシア(開催地:エカテリンブルク)
とアゼルバイジャン(開催地:バクー) を破り開催国に選ばれた。
一方、今年の7月20日にIR (統合型リゾ-ト) 法案が成立した。この法案は、区域認定数の上限を3カ所としている。
大阪府・市は、IRの候補地を早くから負の遺産となっていた、夢洲に焦点をあて誘致を検討していた。例え、万博誘致に失敗しようとも、負の遺産解消のため、IRを必ず誘致したいとの意向を持っていた。
幸いにも、夢洲に万博開催が決定したことにより、IRを誘致するためのインフラ整備は、二つのビッグイベントを両立させると言う大目標が出来たことにより、より優位に事を運び易くなったと言える。
大阪府・市は、大阪万博開催の前年である2024年に夢洲内の隣接地に、カジノを含むIRの開業を目指している。松井知事は、「万博とIRでベイエリアを開発し、東京五輪後の日本経済を牽引する起爆剤としたい。」と豪語している。
負の遺産であった夢洲は、二つのビッグイベントの実行・開催により、今度こそ 負の遺産から脱却し本当の「夢の島」に変貌する 事が期待されるのである。
所が、将来の夢の話 (いや夢ではなく実現する話) ばかりが先行するようであるが、目の前には南海トラフ大地震・大津波が迫っている。これに対する対策をどうするのかと危惧し、IR・万博等に莫大な予算を使う前に災害対策に当てるべきであるという声も聞こえるのである。
地震・津波と言う災害の話は、いつ起こるか予測することは不可能であり、予測不可能なことに備え、莫大な予算を見込むと言うのも難しい話である。IR・万博か、災害対策かと言う二者択一論ではなく、両者を適切に見据えて行政を行って行くのが、今の大阪府・市に問われている課題であると思っている。