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カテゴリー「企業」の記事

2015年11月20日 (金)

トヨタからリコールの案内届く・・・何かしら良心的に感じた!

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20151119日、トヨタカローラ大阪販売株式会社・交野点から、「重要なお知らせ」 ということで、リコールの案内が届いた。内容は以下の通りである。

さて、このたびご愛用車にて不具合が生じる可能性があることが判明いたしました。そのため、「リコール」 の修理を実施させていただきたく、とり急ぎお知らせ申しあげます。

なお、ご案内直後からしばらくの間は、修理のご要請が集中し、お客様の希望される日時に修理ができないことも予想されます。はなはだ勝手なお願いではございますが、あらかじめ最寄りの取扱店にご希望日時等についてご相談をたまわりますようよろしくお願い申しあげます。

【リコールの内容】

自動無段変速機(CVT)の油圧クラッチ機構において、油圧を保持するためのシールが損傷して、クラッチが作動不良となり、路上故障となるおそれがあります。

【修理内容】

自動無段変速機(CVT)を点検し、異常がない場合は、油圧クラッチ機構を対策品に交換します。クラッチが作動不良の場合は、対策済みの自動無段変速機(CVT)に交換します。

【所要時間】

修理作業時間は、車種や作業内容によって異なりますが、約7時間30分~10時間を要します。

という内容であった。私が現在乗っている車を購入したのは、約9年前、即ちシンガポールから日本へ帰国した2007年の1月であった。帰国直後、足がなかったので、真っ先に車を手配したのである。日本国内で最も信頼のおけるメーカーという基準でトヨタを選んだ。

購入したのは、カローラアクシオ・ルクセールという機種、4ドアセダン、1800CC、既にエンジンスタート用のキーは電子化され押しボタン式になっていた。

その後、50006000km/年というペースで約9年間乗り続けて来た。現在、トータル走行距離は約5万キロ強であるが、この間 一度も故障、パンク すらなく無事に来ていたのである。定期的なメンテナンスは欠かさず行って来ていたことによるのかもしれないが。

リコールと聞いてびっくりしたのである。「無事これ名馬」 ではないが、そんな感覚で乗っていた車であり、故障などまったく眼中になく、ほんとうかな!と今でも疑心暗鬼である。

しかし、ユーザーが気付かなくてもメーカーサイドで故障の前兆をつかみ先手必勝で手を打つ (対策を施す) ことは、メーカーとして当然の義務であり、更に顧客の信頼を深めることになるのである。結果論であるが、何かしらトヨタというメーカーの良心 を感じたのである。

ちょうど、1220日に4回目の車検を受ける予定を入れていたので、営業担当者と相談の結果、20日~21日の2日をかけて、車検とリコールの両方を実施してもらうことにしたのである。

昨今、自動車業界といえば、VW (フォルクス・ワーゲン) の排ガス規制インチキ対策問題、エアバックメーカ・タカタによるリコール拒否問題、等々自動車メーカーとしての良心を疑わせるような事象が見受けられ、非常に残念に思っていた。所が、今回トヨタの処置を知り、メーカーの中には良心的なメーカーも存在するのだということが分かり、一服の清涼剤的に感じた次第である。

2014年10月 6日 (月)

夢の実現へ更なる飛躍を望む!・・・イーロン・マスクへ

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イーロン・マスクという起業家をご存じでしょうか?私は、最近知りました。98日、米国の電気自動車メーカーであるテスラ・モーターズのCEOとして来日し、テスラ・モーターズの第二世代の車 「モデルS」 を購入した日本の顧客に納車したのです。納車記念式典にあたりプレスイベントが行われ、そのニュースで知りました。

更に916日、NASA(米航空宇宙局)が2017年の初飛行を目指す有人宇宙船の開発を2つの米企業に託すことを発表しました。選ばれたのはスペース・シャトルの開発など実績のある航空宇宙大手ボーイング社と、ベンチャーのスペースX社という対照的な組み合わせの2社となりました。NASAは民間の競争原理を導入し、ロシアなどとの世界的な開発競争で再攻勢をかけるとしています。

ボーイング社は旅客機の生産など良く知られた大手企業ですが、スペースX社は2002年にイーロン・マスクにより設立されたベンチャー企業であることを知り驚くと共にイーロン・マスクという男に非常に興味を抱いたのです。

イーロン・マスクについて調べて見ると、いろいろな表現で呼ばれているようです。天才起業家、天才経営者、EV(電気自動車)とロケットの革命児、完全無欠のスーパーマン、ITの革命児、等々です。所が、イーロン・マスクのやっている事業がまだ海の物とも山の物とも分からないうちは、「ほら吹き」 呼ばわりされていたようですが、次々と実現するに従って「レジェンド(伝説)」 に変わり、影響力はどんどん増し、今やイーロン・マスクは世界で最も目が離せない経営者と呼ばれるようになって来たようです。

確かに、現在イーロン・マスクが手がけている、EVとロケットは他社の物とは 次元が違うくらい先を行っている と感じています。これは後で説明するとして、私がイーロン・マスクに最も心酔するのは、彼の哲学というか、コンセプトというか、明確なビジョンと確固たる信念のもと、リスクを恐れず物事を進めていることです。

彼の目的は、二つの夢の実現です。一つは、地球環境を守るため持続可能なエネルギーを実現すること。二つ目は、人類の新しい環境を求めた、宇宙への旅立ちである。いずれも、私財を投げ打って、人類のために自身を捧げるというミッションです。このため、彼は広義のデザイナー(設計を含む)であり、そして筋金入りのエンジニア(自分でそう言っている)として、週に100時間以上働き続けているのです。

EV 「モデルS」 について

それでは、テスラ社が開発した、EV 「モデルS」 について見てみると、現在日本で発売されているEVとは値段帯が違うため単純には比較出来ないのですが、日産のリーフ、三菱のi-MiEV、の場合、1回の充電で走行する距離が、160kmに対して「モデルS」 は400km(時速105km走行)である。充電時間は、200V58時間に対して、スーパー・チャージング・テクノロジーにより40分で出来るのである。参考ですが、「モデルS」 は時速29kmで走行し676km走った記録もあります。

性能は、「モデルS」の場合イーロン・マスクの説明によると、車の反応性が非常に良く、運転していると車に溶け込んで一体になったかのように感じるほど、ターンや加速が超能力でも使っているかのように瞬時に出来るそうです。ガソリン自動車には無理で、本質的な違いのようです。運転してみて初めて分かるとのことです。ちなみに、時速100km迄の加速時間は4.4秒です。同じ電気自動車である、リーフ、i-MiEV、でもこのような反応性を示すのかどうか?聞いたことがないので分かりません。

見栄えも、日本の車は軽タイプの箱形に対して、流線型でスポーツカータイプのセダンである。値段は、日本のモデルは約250万円、「モデルS」 は約750万円です。「モデルS、と スーパーチャージャー の写真 があります。文字をクリックすると繋がります。

スペースX社製スペース・シャトルについて

次に、スペースX社が開発している、スペース・シャトル後継機について見てみると、ボーイングの宇宙船は、1969年に初めて月面着陸に成功したアポロ宇宙船のように帰還時はパラシュートで降りるタイプであり、基本的に使い捨てである。一方、スペースXの宇宙船は、エンジンを逆噴射して減速しながら地上に着陸し、再利用可能である。着陸後、すぐにでも再利用できるとしている。

NASAが開発した、スペース・シャトルは再利用可能でしたが、再利用される部分も次の飛行までに9ヶ月と1万人の人手をかけて修理する必要があり、結果としてスペース・シャトルは1回の打ち上げに1100億円もかかり、どう見ても割が合わなかったのです。

宇宙船を打ち上げるロケットは、ボーイングはロシア製エンジンを積むロケット 「アトラスV」 を予定していますが、ロシアは5月に輸出停止を突然表明し、ロシア頼みの危うさが浮かび上がって来ています。一方、スペースXは、自社開発の 「ファルコン9」 を使う予定です。「ファルコン9」 では、製造コストを約75%削減、機体、エンジン、電子機器、打ち上げの運用、等々革新したことは山ほどあるようです。従い、「ファルコン9」 の打ち上げ費用は、約60億円で他社のほぼ半額に近い安さを実現しています。ちなみに、日本の最新鋭ロケットHAの打ち上げ費用は、約100億円かかっています。

更に、イーロン・マスクが問題であると指摘しているのは、現在のロケットは全て使い捨てであることです。現在、使用されている輸送手段、飛行機、電車、自動車、バイク、馬、等々全て再利用可能であるがロケットだけが例外である。宇宙に進出する文明を確立するためには、解決されなければならない問題であるとしています。

スペースXは、既にグラスホッパー・テスト・プロジェクトと呼ぶ、打ち上げロケットの各段が打ち上げ場に戻って来る実験を繰り返し行っています。これがうまく行けば、打ち上げ後数時間以内にまた打ち上げが出来るという本当の再利用可能ロケットとなります。ロケットに使用する燃料代は、全体の費用の0.3%程に過ぎないので、再利用可能になれば、宇宙飛行のコストは1/100迄に改善されるとしています。

イーロン・マスクは火星移住の夢を持っていて、これの実現のために現在そのステップを着々と進めて行っているという状況です。NASAから、次世代のシャトル後継機開発のお墨付きを得たことにより、開発費約2,800億円が投じられることになったため、開発により弾みがつくことになるだろうと思っています。

その他のプロジェクトについて

イーロン・マスクは、EVとロケット以外に、ソーラーシティーという太陽光発電の会社も経営しています。これは、彼の持論である持続可能エネルギー社会を実現するために必要であるとの観点からです。そして、彼は20年以内に発電の主力は太陽光になると予言しているのです。

EV 「モデルS」 に使用する充電スタンドはスーパーチャージャーと呼ばれ、太陽光発電を利用した充電設備で有り、米国の主要道路沿いに設置されていて、「モデルS」 のオーナーは無料で使用出来るようになっています。日本でも、スーパーチャージャーは2015年までに日本中に設置される予定です。

更に、驚くべきことは昨年8月に、夢の超高速列車 「ハイパーループ」 構想を発表しました。これは、現在カリフォルニア州で検討されている高速鉄道、総工費約68000億円に対するアンチテーゼとして発表されたものです。現在計画されている高速鉄道は建設費が高い上に、遅過ぎて、実用的ではないと批判しているのです。

ハイパーループは減圧(100pa程度)されたチューブ(管)の中を乗り物(ポッド)が空中浮上(非接触)して進むシステムです。最高時速は1,220kmでロサンゼルス-サンフランシスコ間(全長610km)を30分で結ぶものです。建設には、期間が20年以上で全体の建設費用見込みは7,100億円です。チューブの建設費用が主要部分を占め、車体の経費は合計で1,100億円未満です。従い、現在検討されている高速鉄道と比較すると、コストが約1/10程度、工期も短縮されることから注目されているようです。

現在、「ハイパーループ」については、別の会社 「ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジー」を作り、ここで2015年始めまでにプロトタイプ(試作機)を完成させる予定とのことです。実現すれば、まさに夢のような話です。是非注目してみたいと思っています。

このように、イーロン・マスクは一人で幾つものプロジェクトを運用(経営)するという、まさにスーパーマン的な活躍をしています。その秘伝(ノウハウ)はどこにあるのか?という質問に対して、考えるためのフレームワークとして物理学をあげています。何か新しいことをしようと言うときは物理学のアプローチを使う必要があります。即ち、原理と推論つまり物事を本質的な真理まで煮詰めてそこから推論するという事である、と答えています。ちなみに、彼はペンシルニア大学で経済学と物理学の学位を取得しています。

イーロン・マスクは、アップルのスティーブ・ジョブズ、マイクロソフトのビル・ゲイツ、を継ぎ、そして上回る起業家になるのではないかと思っています。何よりも素晴らしいのは、金儲けに執着するのではなく、地球を救おうという観点に立って物事を進めていることです。頑張れ!イーロン・マスク

2014年7月25日 (金)

「会社が消えた日」を読んで、その過程を検証してみた

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20146月、日経BP社から 「会社が消えた日」 という本が出版された。消えた会社とは、言わずと知れた三洋電機株式会社である。私はこの会社に37年間勤務し、2006年末10年間の海外勤務を最後に退職したのである。

三洋電機の危機が叫ばれ始めた頃、即ち200410月の中越地震により、新潟三洋電子の半導体工場が被災、地震保険に入っていなかったことから損害がそのまま損失として計上され20053月期の決算は大幅な減収減益となった頃、私は海外にいたので将来的に、まさか会社が消えてなくなると言うようなことなど 全く想像出来なかった のである。

と言うのは、私が担当していた携帯電話は米国のスプリント社からOEM受注を受け、マレーシアの工場で生産し出荷していた。このスプリント社向けのOEM受注は、写メール付き携帯電話の発売により2003年に大ブレーク、対前年比307%の伸びとなったのである。その後も、約150%/年の伸びが続き、2006年には約700万台/年という凄い数量になっていたのである。

日本の主立った携帯電話メーカーが世界の進化から取り残され 「ガラパゴス化」 する中で三洋の携帯電話は孤軍奮闘し頑張っていたのである。2003年には、大東市住道工場の構内に携帯電話専用工場も建てられ、最盛期には三洋電機の営業利益の半分を稼ぎ出す存在となっていたのである。この状況下では、半導体工場が一つ位つぶれたことで 「会社が消えてなくなる」 など全く考えられなかったのである。

しかし、この本 「会社が消えた日」 を読み経過をたどってみると、三洋はもっと早い段階から蝕まれ、少しずつ傾き始めていたのである。タイタニック号が静かに少しずつ沈んでいったように、三洋電機も約11年(2001年~2011年)をかけて沈んで行ったのである。

三洋が傾き始めた原因は何であったのか?一言で言えば、経営陣の判断誤りである。その経営誤りをチェックする機能もなかったのである。内部の取締役は、創業家のCEO井植敏氏に対して適正な設備投資であるかどうかの意見具申や不正決算であることに気づいていたにも拘わらず何も言えなかったのである。

今、盛んに社外取締役の重要性が唱えられている。それは、経営に対して第三者的立場から忌憚のない意見具申が出来る体制が求められているからである。即ち、不正決算のような間違いがあればはっきり 「それは間違いです。」 と言える社外取締役が求められているのである。

三洋が傾き始めたのは、何時で何が原因であったかと云えば、ITバブルがはじけた2001年在庫の評価損計上や工場の減損処理を適切に行わず、結果不正決算になったのが始まりである。この不正決算は以後6年間20063月期まで続いたのである。200712月にこれを認め、20013月期~20063月期までの6年間の単独決算を自主訂正している。

ITバブルがはじけた翌年、20023月期の電機大手の会社は軒並み大幅な赤字決算となったのである。松下-4,310億円、日立-4,838億円、東芝-2,540億円、富士通-3,825億円、NEC-3,120億円、三菱-779億円、等々である。黒字決算となったのは、当時3Sと言われた、三洋、シャープ、ソニーの3社であった。三洋の場合、CEOの一言 「赤字にするな!」 の結果、不正決算で黒字となったのである。

この黒字決算にしたことが幸か不幸か、世間・マスコミは三洋電機を 「勝ち組」 と呼び、井植敏CEOを 「ナニワのジャック・ウェルチ(GECEOで伝説の経営者と言われた)」 と呼びもてはやしたのである。ちょうどこの頃、携帯電話、デジカメ、リチウムイオン電池、等々の事業は好調であり、気をよくしたCEOは見果てぬ夢を見、売上金額2兆円強の企業を10兆円企業にすると豪語していたのである。そして、半導体、液晶パネルに巨額の投資をしたのである。所が、巨額の投資は実を結ばず、残ったのは12,000億円という途方もない有利子負債と不良在庫であった。12,000億円の有利子負債が残ると言うことは、それ以前の投資の失敗も重なったのではないかと私は推測している。

本来の姿としては、20023月期の決算は同業他社と同じく、在庫処理を適正に行い 全ての膿を出し尽くす絶好の機会 であったにも拘わらず、それを行わず在庫を残し黒字決算にしたことが、ケチのつき始めで世間からもてはやされたことにより、次の経営判断ミスに繋がったのである。即ち、既にこの頃日本の半導体(汎用半導体)事業は斜陽化していたにもかかわらず巨額の投資が行われ、それが全て雲散霧消化してしまったのである。当然こうした経営判断は、取締役会議で討議されるはずであるが、ここらのいきさつは私には分からない。CEOの独断で行われたのかどうかも?

三洋電機破綻のトリガーとなったのは、20041023日、午後556分に発生した新潟中越地震による半導体工場の被災が甚大でと言う説明がなされているが、実際には震災が起こる前に経営は事実上破綻していたのである。

新潟中越地震の翌年20053月期の決算は、中越地震による損失870億円を計上したことも重なり-1,715億円という赤字決算となった。この結果、20056月井植敏CEOは辞任、野中ともよ氏が会長兼CEOに就任、息子の井植敏雅氏が社長COOに就任したのである。

新しくCEOに就任した、野中ともよ氏は財務内容を知り愕然としたのである。即ち、自己資本に見合わぬ過剰な有利子負債、不自然に積み上がった在庫、不良在庫の評価損計上、工場の減損処理を実施すれば債務超過に陥る危険があったのである。従い、翌年20063月期の決算も大幅な赤字2,056億円を計上したのである。

経営に対して全く先行きが見えない中、20062月末資本増強のため新株式(優先株式)を発行し、金融3社、大和証券SMBC、ゴールドマン・サックス、三井住友銀行、から3,000億円の出資を受けたのである。

ここから先は、金融3社に経営の実権を握られ、事業の切り売りが始まったのである。200710月携帯電話事業は京セラに売却され、1,683人の三洋電機社員が京セラに籍を移したのである。

三洋電機は、携帯電話の他に魅力的な事業として二次電池(特に自動車用リチウムイオン電池)、太陽電池、を持っていた。この二つの技術が欲しかったのがパナソニックである。トヨタも三洋の自動車用リチウムイオン電池に関心を持っていた。残りの三洋電機買収先にこの2社が上げられたが、トヨタにとっては電池技術のためだけに三洋電機を買収するには無理があり、結局パナソニックが買収に動き、株式の公開買い付け(TOB)を実施し、20091210日に三洋の発行済み株式の50.2%を取得したのである。

そして、パナソニックは20107月三洋電機を完全子会社にするためのTOBを実施10月に完了、20113月に三洋電機の上場が廃止され、41日で三洋電機はパナソニックの完全子会社になり消えて行ったのである。

三洋電機が消えてなくなる迄に非常に長い時間を要しゆっくり沈んでいったように思えたが、ことの起こりはほんの一瞬の経営判断の誤りに端を発し、これが致命傷となり消えて行ったのである。

2013年2月21日 (木)

日航を再建した稲森氏の迫真ルポを読んで

現在、日経新聞で日航の再建に取り組んだ京セラ会長の稲森氏の迫真ルポが進行中である。1~2回を読んで見たが驚きの連続である。

もともと稲森氏はJALが大嫌いであった。それは「客室乗務員もカウターもマニュアル仕事、丁寧だが心がこもっていない。高学歴の幹部は自負心が強いくせ、政治家や官僚にはペコペコする」と言った点である。

JAL再建を引き受けたのは、民主党前原氏の再三の依頼によるものである。最初は、「自分は運輸の素人。お門違いや」と追い返した。稲森氏は自問自答を繰り返した「この年齢で再建の激務に耐えられるか」。しかし、答えはすでに出ていた。JALがつぶれると3万2千人の雇用が失われる。日本の航空業界に健全な競争がなくなる。日本経済に悪影響がでる。「JAL再建には大義がある」として受諾を伝えた。

私が現役で仕事をしている時は、JALそしてJAL系のホテルをよく利用していた。シンガポールと日本の往復は公私を含めると数十回にも及んだが、ほとんど全てJALを利用していた。そしてホテルと言えばJAL系、ホテル日航ロンドン、ホテル日航バリ、ホテル日航大阪、ホテル日航金沢、JALシティー田町、等々非常に多く利用していた。

何故かと言えばJAL系は値段が高かったが、ナショナル・フラッグを付けた超一流企業と思って安心を買っていたからである。いまから思えば大間違いであったのかなと反省せざるを得ない。親方日の丸の高コスト体質に加えてガバナンスの欠如が重なり倒産に至ったと思っている。

新聞を読まれ、ご存じの方もおられると思うが、迫真ルポの中身を一部紹介すると、

1.2010年春、東京都品川区天王洲アイルにあるJAL本社25階の役員会議室。会議はいつもの通り淡々と進んでいた。だが10億円程度の予算執行について説明する役員の話を、会長の稲森和夫(81)が突然、遮った。   

「あんたには10億円どころか、一銭もあずけられませんな」

部屋の空気が凍り付く。総勢30人の役員、管財人は息をのんだ。説明中の執行役員が、ささやかな抵抗を試みた。  

「しかし会長、この件はすでに予算として承認をいただいております」

雷が落ちた。

「予算だから、必ずもらえると思ったら大間違いだ。あなたはこの事業に自分の金で10億円つぎ込めるか。誰の金だと思っている。会社の金か。違う、この苦境の中で社員が地べたをはって出てきた利益だ。あなたにそれを使う資格はない。帰りなさい」

この日を境に「消化する」という官僚的な思考が潜む「予算」という言葉がJALから消え、すべて「計画」に置き換わった。

2.JALは2010年1月に会社更生法の適用を申請した。だが官民ファンドの企業再生支援機がスポンサーについたため、一便も運行を止めていない。社内に「つぶれた」という自覚が薄かった。官僚的な思考が抜けないJALの役員に対して稲森はあえて厳しい言葉使いをした。

「あなたたちは一度、会社をつぶした。本当なら今ごろ、職業安定所に通っているはずだ」

等々、こう言った具合にJAL幹部に対して稲森流経営哲学を懇々と説いて行ったのである。

話は変わるが、JALのような高コスト体質の企業と言えば、独占企業で競争のない所に生まれて来る。そのいい例が、電力会社であり、NHKである。

電力会社は今原発が停止している所が多く、不足を火力発電で補うためLNGを輸入せざるを得ず赤字が拡大している。どの電力会社も値上げ申請を行っているが、私の目から見ると人件費の削減がまだまだ充分でないと思っている。社員一千人以上の大企業の平均年収は約600万円であるのに対して、電力会社の平均年収は約800万円である。更に、LNGの購入価格も足下を見られ非常に高い価格で購入している。ヨーロッパの4倍、米国の8倍とも言われる価格である。仕入れ価格に対して努力が足りない。

NHKに於いても現在改革が進められている。基本賃金を今後5年間で10%削減、管理職の登用試験を新設、地域の給与体系を踏まえた給与体系、等々である。これを聞いて何を今更と耳を疑った。

よく内容を精査してみると、今までの制度があまりにも非近代的であり、ほとんどの人が聞いたらあきれる内容である。NHK職員の平均年収は約1185万円、厚生費などを含めた人件費は約1780万円、給与体系はいまだに年功序列で横並び、都会と地方の給与も全く同じ、まさに親方日の丸のなせるワザである。

NHKは、独占企業であり倒産の心配はなし、売り上げは自動的に入ってくる、一部交代制勤務はあるものの休みはきちっと取れる、夏休みも1~2週間交代で取れる、今現に苦しんでいる中小企業からみると天国と地獄の差である。

総務省はもっと本腰を入れて改革を進めさせるべきである。現在、日銀の総裁の人事にのみ焦点が当たっているが、NHKの会長の人事についてももっと経営に厳しい、土光敏夫氏、稲森和夫氏、と言ったような人を当てるべきである。

2009年9月15日 (火)

JAL(日本航空)の経営再建

ここ連日、JALの経営再建の話が各メディアで取り上げられ話題となっている。私が直接関わっている会社ではないので気にする必要はないが、何故か気になる。

というのは、私は1997年~2006年までの10年間シンガポールに駐在していた。この10年間にシンガポールと日本間を実に36回往復した。このとき利用した航空会社はほとんどJALであり、自然のうちに愛着を感じ気になる存在になっていた。

JALの経営不安はここに来て急に発生したのではなく、数年前から起きていた問題である。経営不振が叫ばれる度に、根本的な解決策をとるのではなく、一時的な再建計画を出しお茶を濁すようなやり方でごまかして来たため、毎年のように経営不安が持ち上がって来ている。

今年に入って、政府の保証の元に銀行団から融資を受け入れる一方、これだけでは資金不足であり、米国の航空会社であるデルタ航空、あるいはアメリカン航空いずれかからも出資を受ける話が進んでいる。例え、いずれかの会社から出資を受けたとしてもまた一時しのぎの策であるため、根本的な赤字体質が改善されない限り、また翌年不安が持ち上がってくると予想される。

根本的な解決策は何かと言えば、構造改革である。高コスト体質を徹底的に洗い直して固定費の削減を図ることが一番必要なことである。最も大きな固定費は人件費であるが、此処にメスが入れられていない。8つの労働組合、高コストな退職者年金、等々やっかいであるがため、いずれの経営者もここに踏み込もうとしていない。まず第一にやることは人件費(年金も含む)と人員の削減による固定費の削減である。固定費をドラスティックに改善したうえで、不採算路線の廃止、国際線の共同運行といった運航コストの削減、等々を実施することである。

人件費の削減は一筋縄では行かないやっかいな問題である。大阪府でも、橋本知事が登場するまでは誰も手を付けなかった問題である。

かって私がシンガポールに住んでいた時、SQ(シンガポール航空)の労使間、特にパイロットの組合が賃上げを要求し、会社側と長い間話し合いがつかないことが発生した。これを見かねた建国の父である、リークワンユー上級相が調整に乗り出し解決されたことを記憶している。

航空業界においてもグローバル化が進み、激しい競争が始まり格安航空会社が乱立し始めた頃であり、SQと云えども格安航空会社と競争を余儀なくされる状況下に置かれていた。こういう状況下で既に高賃金を得ているパイロットが更なる賃上げを求めれば益々高コスト体質になり、他国の格安航空会社との競争が成り立たなくなることを縷々説明しパイロット組合を説得され、解決に導かれたことを記憶している。

JALの経営再建に置いても不退転の決意で臨む経営者(例えば、土光敏夫氏のような経営者)が現れて構造改革を進めて、本当の再建に結びつけて会社を立ち直らせて欲しいと願うものである。

2008年4月25日 (金)

三洋 太陽電池 量産前倒し

ここ2~3年三洋電機に関する新聞記事は芳しくない記事が多かったが、久しぶりに三洋電機復活の狼煙となる記事が発表された。この記事を契機に続々と復活を告げる記事が続くことを期待する。

次は、2007年3月期の決算発表(5月22日)が待たれる。市場の予測では増益となる見込みであり、これを先取りするかのように既に株価が上昇している。従い、市場の期待値通りの決算であれば、好材料出尽くしとなり株価は下がる可能性大と推測している。しかし、決算内容が市場の期待値を大幅に上回るものであれば、引き続き上昇すると思われるが、そこまでは期待出来ないだろう?

近い将来、三洋電機飛躍のキーデバイスとなるのは、自動車用リチウムイオン電池であると見ている。安全性を克服し、競争力のある商品を他社に先駆けて導入出来るかどうかが問われる。研究員総力を挙げて頑張ってほしいものである。

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2008年2月 1日 (金)

三洋 携帯電話事業 売却

三洋電機で私が所属し長年事業を行ってきた電話事業が名実ともに4月1日付で京セラへ売却されることが正式に決定した。事業不振のため昨年の後半からどこかへ売却方針が打ち出され売却先を検討し、シャープと京セラの2社が上がっていたが、京セラの方が条件がよく約500億円での売却となる模様である。三洋の携帯電話事業は最盛期3,500億円の売り上げを計上する最大の事業であったが、売却せざるを得なくなったことまことに残念至極である。この売却が三洋電機の更なる飛躍のきっかけとなることを望む。と同時に電話事業に携わっていたかっての同僚が今後京セラのもとで頑張り、三洋携帯電話のDNAを京セラブランドで発展させていってくれることを願うものである。
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